The Japanese Journal of Antibiotics
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34 巻, 1 号
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  • 金尾 昌明, 岡田 弘二, 岩崎 武輝, 大嶋 一也, 古田 典夫
    1981 年 34 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, セファロスポリン剤の開発が盛んで, 特にβ-Lactamaseに抵抗性を示す半合成剤が次々と出現しつつある。これは, 副作用の少ない点からも, 自然のすう勢であろう。
    Cefoperazone (CPZ) は, Fig.1の構造式をもち, グラム陽性菌はもちろん, グラム陰性菌のPseudomonas, Indole陽性のProteus, SerratiaおよびBacteroidesにまで抗菌スペクトルが拡大され, EscherichiaKlebsiellaに対しても, 従来のセファロスポリン剤よりも強い抗菌力をもつとされており1), 第3世代のセファロスポリンとも, 第5群のセファロスポリンともいわれるものである。われわれは, 本剤を産婦人科領域の感染症に対して使用する経験を得たので, その成績を報告する。
  • 藤岡 成徳, 浅井 隆善, 伊藤 国明, 杉浦 ゆり, 王 伯銘
    1981 年 34 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    急性白血病をはじめとする各種の造血器腫瘍では, 疾患の本態から穎粒白血球, リンパ球などの正常の生体防禦担当細胞に量的, 質的異常が起こるので, 感染症に対する抵抗力が著るしく減退する。さらに, 寛解導入のために施行される抗白血病化学療法によつて, 腫瘍細胞とともに, 一時的に正常細胞の造血が強く抑制されるので, 特にその間の感染症対策は患者の経過を左右する重要な問題である。不幸にして併発した敗血症, 肺炎などの重症感染症に対しては, 顆粒白血球輸血, 抗体含有グロブリン製剤投与などによつて抵抗力の増大をはかるとともに, 抗菌抗生物質による積極的な殺菌, 排除が必要である。このような生体防禦力の低下した状態では, いわゆる日和見感染によつて, グラム陰性桿菌などの弱毒菌による感染症が特徴的であり, それらに対してはアミノ配糖体抗生物質が一般に著効であるとされている。しかし, 本邦では注射の方法が筋注だけによるので, 血中濃度の調節, 出血傾向患者や, るい痩患者への投与に困難が感じられている。我々は, 感染症併発が疑われた造血器腫瘍患者に, アミノ配糖体製剤 (Amikacin, 以下AMK) の点滴静注をおこない, 血中濃度, 尿中排泄量, 副作用などを検討した。次に, AMK点滴静注療法により治療を試み, 菌消失, 下熱などの効果が得られた症例を経験したので, 臨床経過を加えて報告する。
  • 柴田 右一, 井沢 正典, 柴崎 義明, 永井 修子, 武田 植人, 柳沼 恵一, 三富 奈由, 梅村 甲子郎
    1981 年 34 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fosfomycin ((-)-(1R, 2S)-(1, 2-Epoxypropyl) phosphonic acid, 以下FOMと略す) は, Streptomyces wedmorensis およびS. fradiaeなどの放線菌によつて産生される新規抗生物質であるが1), 現在は合成によつて作られている。本物質は, Fig.1に示すようなC-P結合をもつ, きわめてユニークな化学構造で2), グラム陽性および陰性菌に対して広い抗菌スペクトルをもち, 他剤との交叉耐性はなく, グラム陰性感染症に卓越した効果をみとめ, その作用機構として細胞壁合成の初期過程を阻害することが知られている3)。本物質のカルシウム塩は, 経口製剤として, またナトリウム塩は注射用製剤として開発されている。
    今回, FOMの抗原性を検討するため, ヒト血清蛋白との結合性, 免疫グロブリンG (IgG) および免疫グロブリンE (IgE) の抗体産生能について実験をおこなつたので報告する。
  • 小野木 宏
    1981 年 34 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質の相次ぐ開発によつて, 細菌感染症の治療は著るしい発展を見るに至つた。一方, それに伴ない広範囲スペクトラムをもつ抗生物質の普及は, 各種抗生物質耐性菌を出現させ, 特に多剤耐性化した弱毒常在菌による感染症の多発につながつている。
    抗生物質使用の原則は, 起炎菌を同定し, それに適応となる薬剤を選択し, 副作用を念頭におきつつ使用することにある。しかし, 実際の臨床においては, 細菌学的検査成績が得られないこともあり, その成績が判定される以前に起炎菌を推定して薬剤を投与しなければならないこともある。このさいに, 第1選択として選ばれる薬剤の条件として, ある程度の広範なスペクトラムをもち, しかも宿主に対し, 副作用の少ないものが望まれる。こういつた条件に適合する抗生物質としてペニシリン系薬剤やセファロスポリン系薬剤が繁用されてきたが, 近年, これらに対し耐性をもつ細菌が増加してきている。これは, 細菌の産生するβ-Lactamaseにより薬剤が分解され, 不活化されるためといわれている。Ampicillin (AB-PC) は, グラム陽性, 陰性菌に抗菌力を示す半合成ペニシリンであるが, β-Lactamaseにより不活化される欠点をもつ。Dicloxacillin (MDI-PC) をはじめとするIsoxazolyl系ペニシリンは, このβ-Lactamaseに対して阻害作用をもつことが知られている。そのため, AB-PCとMDI-PCとの併用が, 抗菌スペクトラムの拡大と, AB-PC耐性菌のβ-LactamaseによるAB-PCの分解が阻害され, 両者の相乗効果が期待される。なかでも, AB-PCとMDI-PCとの比が, 2: 1のばあいに優れた効果が発揮されることがin vitro, in vivoの成績で確認され, その内服用合剤が実用に併せられるに至つた1~5)。今回1g中にAB-PC66.7mg (力価), MDI-PC33.3mg (力価) を含有する小児用細粒が試作されたのを機会に, この薬剤の臨床的検討をおこなつたので報告する。
  • 寺島 周, 中村 明, 沖本 由理, 黒崎 知道, 上原 すず子
    1981 年 34 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新経口Cephalosporin系抗生物質であるCefadroxil (以下CDX) を, 小児科領域で検討し, 以下の結果を得た。投与対象は, 尿路感染症 (腎盂腎炎が主となる) 9例, 急性扁桃炎7例, 猩紅熱2例, 皮膚化膿症1例, 反復性気管支炎1例の計20例である。起炎菌と考えられる臨床分離菌はEscherichia coli, Streptococcus pyogenes, Coagulase positive Staphylococcus(C.P.S.), Haemophilus influenzae, Proteus mirabilisであつた。臨床的有効性は20例中19例に, 細菌学的効果は19例中17例にみとめられた。
    Cephalexin (CEX) と類似した化学構造をもつCDXは, CEXと抗菌スペクトラムは同等であるが, S. pyogenesKlebsiella pneumoniaeに対して, よりよい抗菌力をもち, 食事による血中濃度への影響が少なく, 蓄積作用は無いが持続性に優れている等の特徴を持つという1, 2, 3, 4)。我々は本剤を既述した小児期感染症に投与する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 小林 裕, 森川 嘉郎, 春田 恒和, 藤原 徹
    1981 年 34 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxil (CDX) は, 米国ブリストル社で開発された新経口用Cephalosporin剤で, 抗菌域, 抗菌力はCephalexin (CEX) とほぼ同様であるが, Streptococeus pyogenesに対してはCEXより強い抗菌力をもち1, 2), 経口投与時の吸収には食餌の影響をうけず, 血中濃度の持続がCEXより長く3~5), 毒性は低い6) といわれる。
  • 西村 忠史, 広松 憲二, 高島 俊夫, 田吹 和雄, 小谷 泰
    1981 年 34 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今日, 経口セファロスポリン系薬剤の使用頻度はきわめてたかく, その使用量も年々増加の一途にある1)。確かに治療面で, これら薬剤が, 細菌感染症の軽・中等症に対し果した役割は大きい。しかし, 一方, 既存の経口剤には抗菌力, 殺菌力の面で, 必ずしも十分といえない面もあつた。今度, 米国ブリストル社で開発された経口用セファロスポリン系薬剤であるCefhdroxil (CDX) は, 化学構造上Cephalexim (CEX) に類似しているが, 7位置換基のフェニル核のパラ位に水酸基をもつている点が異なつている。抗菌スペクトラムは, CEXとほぼ同様であるが, Streptococcus pyogenes, Klebsiella pneumoniaeに対しては, CEXより優れた抗菌力を示すといわれている。本剤の吸収・排泄については, その持続性がCEXにくらべ優れ, 一般毒性も弱い2)。すでに本邦でも, 基礎的および成人における臨床的検討がおこなわれ, その有効性, 安全性について, 第27回日本化学療法学会総会で本剤の評価がおこなわれた3)。
    今度, 我々は本剤の小児における検討の機会を得たので, その成績について述べる。
  • HIDEAKI JINNOUCHI, KOKI YAGISHITA
    1981 年 34 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    We have been investigating novel antimycotics as well as substances indicated synergistic effects of antimicrobial activities with addition of small amount of recently-developed imidazole antimycotics shown in Fig. 1. This time, we isolated Pericillium sp. No.Y-11930 which yielded a physiologically active substance. The substance was obtained as pillar-shaped crystals and showed 30-125-fold strong synergistic effects against Candida sp. with addition of econazole 1), miconazole 2) and clotrimazole 3). The substance was hereinafter called as synergisidin in relation to this synergism. Synergisidin showed C16H24O4 (MW: 280.2552), [α] 10D+106.23° (c 0.33, MeOH) and mp. 200°C and identical with brefeldin A and ascotoxin (decumbin) from physicochemical properties and comparison with them.
    This paper deals with production, extraction, purification, biological properties and physicochemical properties of synergisidin.
  • 堀 誠, 豊永 義清, 黒須 義宇, 熊谷 公明
    1981 年 34 巻 1 号 p. 61-76
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxil (CDX): (61R, 7R)-7[(R)-2-Amino-2-(P-hydroxyphenyl) acetamido]-3-methyl-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo [4, 2, 0] oct-2-ene-2-carboxylicacid. Monohydrateは, 米国ブリストル社で開発された経口用Cephalosporin剤であり, Fig.1に示す構造式を示し, 化学構造上Cephalexin (CEX) に類似しており, 7位置換基のフェニル核のパラ位に水酸基をもつている。
    CDXは, 化学構造上類似のCephalexin Cefradine (CED) と抗菌スペクトラムは, ほぼ同様であり, Streptococcus Pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Escherichta coli, Klebsiella sp.そしてPenicillin耐性のStaphy Jococcus aureus等に対して優れた抗菌力を示し, 吸収・排泄に関しては, 最高血中濃度は, CEXおよびCEDとほぼ同様であるが, 持続性では優れ, 尿中濃度推移についても優れているとの報告もあり, CDXは小児科領域において, 使用し得るに足る薬剤と考えられる。今回, 我々は, CDXについて, その抗菌力, 体内動態および臨床効果ならびに副作用の検討をおこなつたので, 多少の考察を加えて報告する。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 宮津 光伸, 大須賀 民子
    1981 年 34 巻 1 号 p. 77-94
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxilは, 米国ブリストル社で開発された経口用の新らしい半合成セファロスポリンC系抗生剤である。その構造式は, Cephalexin (CEX) に類似し, CEXの7位の側鎖のPhenyl基をp-Hydroxyphenyl基に置換したものである。本剤のin vitroでの抗菌スペクトラムと抗菌力は, CEXとほぼ同等1, 2) であるが, その殺菌作用はCEXより多少強い2) といわれる。しかし, 本剤とCEXの最も大きい違いはPharmacokineticsな面にある3, 4) といわれており, 本剤の方が血清濃度と尿中濃度の維持の点で優れていることである。
    我々は本剤の基礎的, 臨床的検討を小児科領域でおこなつたので報告する。
  • 小栗 豊子, 小酒井 望
    1981 年 34 巻 1 号 p. 95-101
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 感染症の起炎菌の変遷が多くの研究者により報告されており, これらによればグラム陽性菌の減少に伴ない, グラム陰性桿菌の増加が指摘されている。しかし, 肺炎球菌による肺炎, 化膿性髄膜炎は, 現在でも決してまれではなく, 特に2才未満の小児, 高令者では重篤な症状を呈し, 死亡率も高いといわれている。
    一方, 肺炎球菌の抗生物質感受性をみるとTetracycline (TC), Chloramphenicol (CP) 耐性株は, 以前よりかなり高頻度に出現しており, 以後, マクロライド剤耐性株が出現し, 現在では本菌種の耐性株が最も出現しにくいとされていたPenicillins (PCs), Cephalosporins (CEPs) 耐性株が増加の傾向を示している。
    以上のような難治な肺炎球菌感染症の予防策として最近, 肺炎球菌の莢膜多糖体ワクチンが開発された。近い将来, わが国においても, このワクチンが用いられるとすれば, 国内における本菌感染症と菌型分布との関係が明らかにされなければならない。
    そこで, 私共は最近, 当院中検において各種臨床材料から分離した肺炎球菌の菌型分布と薬剤感受性について検討したので報告する。
  • 特にABPCとの比較について
    見永 武芳, 安見 正仁, 米田 誠一, 前田 正明, 木村 泉, 中村 喜久生, 木津 明, 伊地知 浜夫, 日野 良俊, 沢田 克徳, ...
    1981 年 34 巻 1 号 p. 102-107
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    グラム陰性桿菌に特異的に強い抗菌力を示すMecillinam 1~3) は, 経口投与時には吸収され難いので4), この欠点を取り除く目的から, 3位カルボン酸のPivaloyloxymethylester, すなわちPivmecillinam (メリシン: 武田薬品) が開発された。
    Pivmecillinam自体には抗菌力は無いが, 小腸から門脈を介して吸収され, 腸管壁内の非特異的エステラーゼによつて, 加水分解を受けMecillinamとなり, 抗菌力を発揮することが知られ5), Pivmecillinam投与後のMecil-linamの血中濃度は投与後30分~1時間で速かにピークに達し, 4~6時間後には, ほぼ完全に消失すると報告されている6)。Mecillinamの臓器分布では, 肝, 腎に高値を示すことからも示唆されるように, その主要な排泄経路は胆道および尿路とされ7, 8), Pivmecillinamの尿路感染症における有効性は周知のところである。
    近年, 臨床例におけるPivmecillinam経口投与時のMecillinamの胆汁内濃度は, 胆石症の手術後, 総胆管内に留置したT字管を介して実測した報告がみられ9), 実験動物における臓器分布を裏付けて, 人体でも胆汁内への高濃度排泄が確認されている。
    他方, 胆道感染症においても, 従来のAmpicillin (ABPC), Amoxicillin (AMPC) 等に対する耐性菌の出現が近年注目され始めているのが現状である10, 11)。今回, 私共はPivmecillinamの胆道感染症に対する本剤の臨床効果を判定するため, ABPCと対比して検討した。ABPC投与の結果, 無効と臨床的に判定した14症例を対象として, 本剤の治療効果を検討したので報告する。
  • 宮村 定男, 藤田 雅
    1981 年 34 巻 1 号 p. 108-111
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    がんの化学療法においては, その副作用を軽減し, また同時に効果を高める目的をもつて, 各種の薬剤の併用療法がひろく一般化している。しかし, その基礎的実験についての報告は少ない。私共は, 抗細胞作用および抗菌作用をもつて, 各種制がん剤について併用効果を検索し, 今回Chromomycin A3と Amphotericin Bとの間に協力作用をみとめたので, ここに報告する。
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