The Japanese Journal of Antibiotics
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臨床材料から分離した肺炎球菌の血清型別と抗生物質感受性
小栗 豊子小酒井 望
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1981 年 34 巻 1 号 p. 95-101

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抄録

近年, 感染症の起炎菌の変遷が多くの研究者により報告されており, これらによればグラム陽性菌の減少に伴ない, グラム陰性桿菌の増加が指摘されている。しかし, 肺炎球菌による肺炎, 化膿性髄膜炎は, 現在でも決してまれではなく, 特に2才未満の小児, 高令者では重篤な症状を呈し, 死亡率も高いといわれている。
一方, 肺炎球菌の抗生物質感受性をみるとTetracycline (TC), Chloramphenicol (CP) 耐性株は, 以前よりかなり高頻度に出現しており, 以後, マクロライド剤耐性株が出現し, 現在では本菌種の耐性株が最も出現しにくいとされていたPenicillins (PCs), Cephalosporins (CEPs) 耐性株が増加の傾向を示している。
以上のような難治な肺炎球菌感染症の予防策として最近, 肺炎球菌の莢膜多糖体ワクチンが開発された。近い将来, わが国においても, このワクチンが用いられるとすれば, 国内における本菌感染症と菌型分布との関係が明らかにされなければならない。
そこで, 私共は最近, 当院中検において各種臨床材料から分離した肺炎球菌の菌型分布と薬剤感受性について検討したので報告する。

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