The Japanese Journal of Antibiotics
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外科領域臨床分離菌のアミノ配糖系抗生物質に対する感受性およびTobramycin点滴静注法の意義について
岩井 重富神野 大乗山本 悦永横田 伝岡村 教生高井 一光佐藤 毅国松 正彦坂部 孝
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1981 年 34 巻 10 号 p. 1355-1365

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抄録

近年化学療法剤の開発はめざましく, なかでもPenicillin系, Cephalosporin系およびAminoglycoside系には多数の新抗生剤が出現している。一方外科臨床においては手術対象の拡大とともに術後感染症の複雑化がすすみ, 臨床分離菌は混合感染が非常に増加している。特にグラム陰性桿菌の混合感染の増加に伴ない, 上記抗生剤中, Aminoglycoside系薬剤の選択の機会が増加してきている。従来, Aminoglycoside系薬剤は本邦においては筋注投与法が用いられてきている。しかし, 出血傾向の著明な血液疾患, るいそうの著明な患者, ショック状態, 重篤な火傷などでは筋注は好ましくない。さらに外科では, 術後は一般に輸液療法をおこなつており, 血管が確保されているばあいが多い。輸液に混和して投与することが有効性, 安全性ともに問題ないならば, 筋注による患者の苦痛を避け得る点からも臨床上の有益性は大きい。
以上から最近はAminoglycoside系薬剤の点滴静注時の血中濃度, さらに臨床報告データが見受けられる。今回, 我々も外科領域における臨床分離菌のAminoglycoside系薬剤に対する感受性をMIC測定により検討するとともに, Tobramycin (TOB) 90mgの点滴静注法における血中濃度を測定し, MICとの比較によりその意義を検討した。
さらに, 術後感染症に90mg×2/日, 点滴静注による治療をおこない, その有効性および安全性を検討した。

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