The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCefotiamの基礎的・臨床的検討
西村 忠史広松 憲二高島 俊夫田吹 和雄小谷 泰
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1981 年 34 巻 6 号 p. 1027-1036

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抄録

抗生物質とりわけセファロスポリン系薬剤の開発・発展は, 細菌感染症治療の進歩と相まつて深い関係をもつている。さて今日の化学療法の直面している問題点は, 従来の感染症に代つて, 宿主条件および病原微生物の変化が加わつた難治感染症治療にある。このような状況下での化学療法に要求される薬剤の殺菌効果の, より強化と抗菌域の拡大, さらに薬剤耐性打破は治療上からも当然であろう。難治感染症の主要菌種となるグラム陰性桿菌におけるβ-Lactamase産生菌の今日の増加と, 耐性化の問題は, 極めて重要な問題である。
今度, 武田薬品中央研究所から開発されたCefotiam (CTM, SCE-963) は7位側鎖にAminothiazole環をもち, 3位側鎖にはTetrazole環をもつ新らしい抗生物質である。
本剤は, 従来のセファロスポリン剤にくらべ, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisに対してin vitro, in vivoともすぐれた抗菌活性を示し, また抗菌スペクトラムの面でもHaemophilus influenzae, Enterobacter, Citrobacter, Indole陽性Proteusまで拡大され, 従来のセファロスポリン系抗生物質の弱点を補う特徴を備え, かつAmpicillin (ABPC) 耐性H. influenzaeにも有効であるとされている。
本剤の吸収・排泄の面では, 半減期はCefazolin (CEZ) とCephalothin (CET) の中間に値し, 尿中排泄率は投与後6時間まででおよそ60~80%であり, さらに胆汁内への移行もよい。すでに本邦では, 基礎的および成人での臨床的検討が実施され, 第26回日本化学療法学会総会において本剤の特徴とその有用性が評価された。今回著者らはCTMの基礎的および臨床的検討をおこなう機会をえたので, その成績について述べる。

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