The Japanese Journal of Antibiotics
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34 巻, 6 号
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  • 岩佐 博, 三村 一夫, 寺島 肇, 平出 星夫, 溝口 修身, 加辺 純雄, 田巻 国義, 黒川 胤臣, 初瀬 一夫, 竹村 克二, 門田 ...
    1981 年 34 巻 6 号 p. 827-831
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoxitin (CFX) は米国 Merck Sharp & Dohme Research LaboratoriesがStreptomyces lactamduransの産生する Cephamycin Cの誘導体として開発した最初の Cephamycin 系抗生物質であり, β-Lactam環の7α位にメトキシ基をもつため, 各種細菌が産生するβ-Lactamaseに対してきわめて安定である1)。
    Cefoxitinは, 特に, グラム陰性桿菌のうち, 大腸菌, 肺炎桿菌, プロテウスに対して強い殺菌的抗菌作用を示し2, 4, 8), 従来のセファロスポリン, ペニシリン系薬剤に耐性を示す細菌に対しても優れた抗菌効果を発揮する2~5)。さらに, セファロスポリン, ペニシリン, アミノ配糖体系の抗生物質に耐性を示すといわれる偏性嫌気性菌バクテロイデス・フラジリスに対しても有効であると報告されている。
    構造式はFig. 1に示すとおりである。
    今回, 我々は, 下部消化管, 結腸・直腸疾患手術後の感染予防に対してCFX (マーキシン注射用) を使用する機会に恵まれたので, CFXを術直前および術後に投与し, 術後の全身状態, 創感染の有無, 合併症の有無およびCFXの皮下脂肪組織, 腸組織内濃度, 結腸・直腸における細菌感受性などを検索することにより, 下部消化管手術時の CFX の適性について臨床的に検討したので報告する。
  • 杉浦 浩策, 外山 圭助, 根岸 昌功, 青木 功, 岡本 眞一郎, 楊 振典, 安藤 泰彦, 内田 博
    1981 年 34 巻 6 号 p. 832-840
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 血液疾患, なかでも急性白血病の治療は各種抗白血病剤の多剤併用による強力な化学療法, また, 顆粒球輸血, 血小板輸血などの補助療法の進歩により, 完全寛解率の向上および生存期間の延長がみられるようになつた。しかし, これら治療に伴ない著明な骨髄造血機能低下がみられ, 随伴する感染症が急性白血病の予後に重大な影響を与える要因となつてきている。
    これら感染症は重症かつ難治性であり, その起炎菌はPseudomomsaeruginosa, Klebsiella, Escherichia coli, Serratiaなどのグラム陰性桿菌が現状では高頻度に分離されている。このような条件下での感染症に対しては, 強力な抗生物質療法を施行する必要があるため, グラム陰性桿菌に殺菌的に作用するアミノ配糖体抗生物質を支柱とした, ペニシリン系およびセファロスポリン系抗生物質の2剤, あるいは3剤併用療法が汎用されている。
    今回, 我々は血液疾患に伴なつた重症感染症に対してAmikacinを経静脈的に投与し, そのさいの血中動態および臨床的検討をおこない, 多少の知見を得たのでここに報告する。
  • 藤井 浩, 清水 忠雄
    1981 年 34 巻 6 号 p. 841-851
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, 抗癌剤の投与法の工夫や新らしい強力な抗癌剤の開発により, 急性白血病をはじめとする造血器悪性腫瘍の寛解率は向上し, 長期生存例が増加してきた。一方, 治療経過中に宿主は頻回にわたり, 顆粒球減少や免疫不全状態に陥り, いわゆるOpportunistic infectionを合併しやすい。このような条件下で発生する感染症は, 重篤かつ難治性であり, しばしば致命的となるため, 感染症対策は基礎疾患の経過を左右する最も重要な要因の1つとなつている。このため, 感染症対策としては, Bioclean roomの導入, 抗生物質の大量併用投与, 顆粒球輸血などが試みられているが, 今なお感染死は増加傾向にある。起炎菌としてグラム陰性桿菌の分離頻度が高いことから, アミノ配糖体系抗生物質を支柱とし, 合成ペニシリン系, セファロスポリン系抗生物質の大量併用療法がおこなわれている。
    今回, 基礎疾患に造血器悪性腫瘍や再生不良性貧血をもつ重症感染症に対して, Amikacin (AMK) の点滴静注投与を中心とした多剤併用療法をおこなつたのでその成績を報告し, あわせてAMK点滴静注時の血中濃度, 尿中排泄量についても検討を加えたので報告する。
  • 横森 忠紘, 久高 弘志, 金子 洋, 大和田 進, 斉藤 清, 渡辺 正彦
    1981 年 34 巻 6 号 p. 852-855
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amikacin (AMK) はKanamycin Aから化学的に誘導されたアミノ配糖体系抗生物質で, グラム陽性菌・陰性菌に殺菌的に作用し, 特にグラム陰性桿菌に有効で, 現在広く臨床に使用されている。又, 他のアミノ配糖体系抗生物質との間にほとんど交叉耐性がないのが特徴で, 特にGentamicin (GM) 耐性菌に有効である1~3)。近年, 外科的感染症の起因菌として, 大腸菌や緑膿菌をはじめとするグラム陰性桿菌の増加が顕著であり, 特に腹膜炎や胆道感染症などの消化器外科領域の感染症では, 大部分の症例でグラム陰性桿菌が検出されるのは周知の事実である4~8)。したがつて消化器外科領域においてはアミノ配糖体系抗生物質が多く使用されているが, その投与法としてはほとんどが筋注法でおこなわれてきた。しかし, 臨床的効果の点からも, 又, 筋注の持続的な投与による局所の炎症や血腫の形成などの点からも経静脈内投与が望ましいと思われる。
    我々は今回, 消化器外科領域の各種感染症にAMKを点滴静注法で投与してその効果や副作用について検討したので報告する。
  • (商品名:セフメタゾン) の使用経験
    村尾 誠, 寺井 継男, 桐沢 俊夫, 今 寛, 森山 洋子, 服部 毅
    1981 年 34 巻 6 号 p. 856-863
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    セフメタゾールは三共株式会社が開発したセファマイシン系の抗生物質で, 従来のセファロスポリン系の薬剤にくらべ, いくつかの利点をもつことが報告されている。これらの報告から, その特徴をまとめてみると, β-Lactamaseに対する抵抗性が強いこと, 従来のセファロスポリン系薬剤が効果の少ない, Proteus, Semtia, Bacte roides fragilisにも有効なこと, また, 慢性の呼吸器疾患の症状増悪との関連が注目されているインフルエンザ菌にも有効な点があげられている。
    他の感染症と同様, 呼吸器感染症においても, 起炎菌の同定は重要であるが, 呼吸器疾患ではこれが必ずしも容易でなく, いろいろの検索法が試みられている。また, くり返し起る再燃のために種々の薬剤を使用する経過で菌交代症などにより治療がむずかしくなることも少なくない。したがつて, 呼吸器感染症の治療にあたつては, 起炎菌が明瞭でないばあいでもよい効果が期待できるように, 肺炎球菌, ブドウ球菌, インフルエンザ菌はもとより, グラム陰性桿菌に対してもより確実な効果が期待できる薬剤の使用が望まれる。
    今回, このような利点をもつ抗生物質として市販されたセフメタゾール (商品名: セフメタゾン, CMZ) を使用し, 肺炎についてその有効性を検討したので報告する。
  • 柱 新太郎, 松枝 依子, 藤井 良知
    1981 年 34 巻 6 号 p. 864-873
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    CefmetazoleはCephamycin系に属する新規抗生物質で, その特徴としてβ-Lactamaseに対して強い抵抗性をもつている。さらに, 従来のCephalosporin系薬剤に比較して, 特にグラム陰性桿菌に対して抗菌力が優れており, 安全性も高い。小児科領域では, その有用性が確認されているが, 今回, 我々は新生児にCefmetazoleを使用し基礎的, 臨床的検討をおこなつた。
  • 南里 清一郎, 砂川 慶介, 山下 直哉, 秋田 博伸, 堀田 昌宏, 市橋 保雄, 石川 和夫, 岡崎 貴美子, 金光 岳文, 李 柴英
    1981 年 34 巻 6 号 p. 874-879
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    各種抗生剤の開発, 使用により, 耐性菌の出現, あるいは, 従来は, 病原性の弱いと考えられていた菌による感染症は, 増加の傾向にある。その対策として, 抗菌力の強化, 耐性菌に対する抵抗性の増強, 抗菌スペクトルの拡大を目指した抗生剤を開発する事により感染症に対する治療は, 進歩をとげている。Cefmetazole (CS-1170) は, 7α位に直接Methoxy基をもち, その点でCephalosporin (CEP) の基本構造と異なるので, Cephamycin系抗生物質と呼ばれている。本剤は, 耐性大腸菌を含むβ-Lactamase産生菌に対して強い抗菌力をもち, 従来のCEPs系薬剤, Penicillin (PCs) 系薬剤が無効であるインドール陽性ProteusSerratiaにも強い抗菌力をもっている。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 種田 陽一, 猪熊 和代
    1981 年 34 巻 6 号 p. 881-892
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 従来のβ-Lactam系抗生剤が多用されるに伴ない, それらの薬剤に新らしく耐性を獲得した菌株やもともと効果の無かつた菌種による感染症が増加の傾向にある。こういつた傾向は小児科領域でも現実のことであり, 一層増加したさいには, 現在我々がもちあわせている抗生剤では当然支障をきたすことが考えられる。特に, こういつた感染症は, 産科的処置といつたグラム陰性桿菌との接触の機会があり, 免疫学的にも不全状態にある未熟児や新生児, 年長児でもHost側に抵抗性の減弱があるばあいに発症することが多いだけに問題が多い。したがつて, 広域スペクトラムをもち, 殺菌的に作用し, 蓄積作用がなく, また, 副作用が少ないなどの新生児領域の抗生剤としての条件を備えた薬剤の出現が望まれるところである。
    CefmetazoleはCephem環の7α位にMethoxy基 (-OCH3) をもつCephamycin系と称される抗生剤の1つである。従来のβ-Lactam系薬剤よりβ-Lactamaseに安定であり, そのために, グラム陰性桿菌ではより抗菌スペクトルが広くかつ抗菌力が強くなつている)。また, 従来のβ-Lactam系薬剤に耐性を獲得したβ-Lacta-mase産生菌にも効果があるといわれている1)。しかも, 体内で変化を受けず, 主に腎を介して速やかに排泄され, 腎毒性はCephalothin (CET) より少ないといわれている。このような特徴をもつ本剤は, 新生児領域において今後一層増加してくると考えられるβ-Lactamase産生菌にごよる感染症の治療に, 大きい役割を果しうると想像される。
    今回, 我々は本剤の新生児領域における基礎的, 臨床的検討をおこなつたので, その成績を報告する。
  • 藤井 良知, 柱 新太郎, 吉岡 一, 滝本 昌俊, 長 和彦, 市橋 保雄, 砂川 慶介, 南里 清一郎, 中沢 進, 佐藤 肇, 近岡 ...
    1981 年 34 巻 6 号 p. 893-902
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今日,細菌感染症に対する抗生物質の開発, 発達はめざましいものがある。一方, その使用頻度の増加も著るしく, その結果としてCephalosporinase産生菌,Penicillinase産生菌の増加が指摘されており, これらの菌が院内感染の原因として, 又Opportunistic pathogensとして問題となる, いわゆる弱毒菌が多いだけに, 今後治療上, 種々の問題が生じてくることが充分予想されるのである。
    Cefmetazole (CMZ) は, 三共株式会社において独自に開発されたCephamycin系抗生物質で, グラム陽性およびグラム陰性菌に優れた抗菌力を示し, とくにβ-Lactamase産生菌に対し強い抗菌力をもち, 従来のセファロスポリン系, ペニシリン系抗生剤が無効なIndole陽性Proteus, Serratiaにも強い抗菌力を示すことが明らかにされている1)。
    本剤の排泄は, 生体内で代謝をうけず, 活性型のまま尿中に排泄され, 毒性面では, 一般毒性はほとんどみとめなく, 腎毒性もCephalothin(CET), Cefazolin (CEZ) より少ないとされている2)。
    このような本剤の特色からもCefmetazoleに対する治療効果の期待は大きいと考えられる。
    そこで, 小児科領域においても将来重症感染症に, Cefmetazoleが必要になるとの判断から, 著者らは昭和52年に小児科におけるCefmetazole研究会を全国的に組織し, 幼児期以上の小児について3, 4, 7~18) Cefmetazoleの有効性と安全性を検討した結果, 小児期の有用性が確認されたことを発表した2, 3)。今回はさらに以下の理由から, 従来周産期化学療法を研究してきて母子化学療法研究会とは別にCS-1170周産期研究会を組織し, 新生児, 未熟児に対する本剤の有効性と安全性を検討した。
    1. 母子化学療法研究会でとりあげ る薬剤は, 原則として既に, 市販され, しかも数年経過したものであり, 成人あるいは乳児を含む小児で安全性の確認されている薬剤の中から周産期の対象にも是非必要であると考えられたものをとりあげてきた。この原則からいうとCefmetazoleをとりあげるのは時機尚早である。
    2. ただ, 既存の薬剤殊に旧型セファロスポリン剤に対する耐性化が急速に進んでいる現在, これら耐性菌による新生児重症感染症に対して用うべき化学療法剤がないという可能性が十分予想される。従つてそれに対処するためには現在開発中の強力なβ-Lactam系新薬セファロスポリン系4群, 5群に期待をおかなければならない。しかし現在すでにご小児についての十分な検討データが集積ざれ, 周産期感染症の検討可能であり, かつ価値が大きいと考えられるものはCefmetazoleしかない。
  • 由良 二郎, 鶴賀 信篤, 林 周作
    1981 年 34 巻 6 号 p. 903-906
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmetazole (CMZ, CS-1170) を, 新生児の2例に投与し, その血清中および尿中濃度を測定し, 更に胆道閉鎖症外胆汁瘻造設例において, 胆汁中濃度を尿中濃度と比較測定したので報告する。
  • 高瀬 善次郎, 井上 久美子, 白藤 博子, 清水 哲也, 石川 睦男, 藤本 征一郎, 松田 静治, 張 南薫, 国井 勝昭, 山田 文夫 ...
    1981 年 34 巻 6 号 p. 907-914
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 新らしい抗生剤が次々と開発され, 化学療法の研究もめざましい発展を遂げている。ところで, Cephamycin系抗生剤の1つであるCefmetazoleが本邦において開発され, 市販されるにおよび, 婦人科領域の感染症に対しての有効性はみとめられているが妊婦に対する安全性は, 未だ研究されていない。
    そこで, Cefmetazoleの妊婦, 新生児, 未熟児に対する適正投与量, 安全性および有用性について検討するため, 藤井良知会長の下にCS-1170周産期研究会が組織された。
    この研究会における周産期の産婦人科領域での基礎的, 臨床的研究成績をまとめ報告する。
  • 張 南薫, 福永 完吾, 国井 勝昭
    1981 年 34 巻 6 号 p. 915-924
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefmetazole (以下CMZ) は1972年, 三共株式会社によつて開発されたCephamycin系に属する新規抗生物質である。本剤は, セフェム骨格の7α位にメトキシ基の入つたセファマイシン系構造をもち, β-Lactamaseに対する抵抗性が強い。このため細菌学的特徴として, 多くの耐性菌や, 従来のセファロスポリン系, ペニシリン系に無効な細菌類にも強い抗菌力を示す。本剤の体内動態については, 静注, 筋注により高い血中濃度が得られるが, 臓器移行性も良好で, 子宮などの組織中に高い移行性がみとめられている。これらの特性から, 各科領域において, すぐれた臨床成績が得られており有用性がみとめられているが, われわれも産婦人科領域においてこれをみとめ報告した。近年, 産科領域では, 周産期医学という分野が注目を浴び, 胎児, 新生児を中心として, 妊娠末期の母体, 新生児期の諸問題についてひろく研究がおこなわれているが, この時期における感染症, 化学療法についても重要視され研究が盛んになつている。周産期において選択すべき抗生物質としては, 広域スペクトルであること, 殺菌的作用, 注射可能で吸収が速く, 臓器集中性がよい, 副作用が少ないことなどの条件を満たすものが望ましいとされている。また, 問題点としては, 感染起因菌の変遷, 薬剤の感受性分布, 薬剤の胎児移行, 新生児における吸収・排泄, 至適投与量, 新生児におよぼす影響などの点があげられる。これらのことから考案するに, CMZは上記の条件に合致するものと考えられ, 周産期化学療法研究会においてこれが取り上げられ, 研究がおこなわれたが, われわれも上記の観点から, これに参加して研究をおこない, 多少の知見を得たので, これらの成績について述べる。
  • 1981 年 34 巻 6 号 p. 925-928
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 永松 一明, 高瀬 愛子, 野平 千賀子
    1981 年 34 巻 6 号 p. 929-933
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxilは新らしい半合成の経口Cephalosporin剤で, CephalexinやCefradineと似た化学構造をもち, その抗菌スペクトルもCephalexinと殆ど同じであるが, Cephalexinにくらべて胃腸管からの吸収がおそく, また尿中への排泄もおそいので, 血中の抗菌レベルを長く維持できる特長をもつている。
    Streptococcus pyogenesに対する抗菌力はCephalexinより優れ, また尿中排泄が緩徐であるために, 尿路感染症に適した抗生剤といわれている。
    われわれはCefadroxilを小児の急性扁桃, 咽頭炎および尿路感染症に使用し, よい成績を得ためで報告する。
  • 平山 隆, 菊地 金男
    1981 年 34 巻 6 号 p. 934-938
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefbperazone (CPZ) はグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対し, 広範囲な抗菌スペクトラムをもち, 特にグラム陰性菌のうちPseudomonas, EnterobacterおよびIndole (+) PnteusではCefazolin, Cephalothinより優れた抗菌力を示すといわれている。また筋注, 静注によつて高い血中濃度が得られ, ほとんど代謝されずに尿中, 胆汁中に高濃度に排泄されることが報告されている。今回, われわれは胆道感染症に対し, CPZを投与する機会を得, 基礎的, 臨床的検討を加えたので報告する。
  • XIAO-CHANG Fu, HIROSHI NAGANAWA
    1981 年 34 巻 6 号 p. 939-941
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Compound R-75-1 is a very potent rifamycin derivative prepared from rifamycin SV at the Sichuan Institute of Antibiotics Industry, China in 1975. This compound showed a strongactivity against Mycobacterium tuberculosis and Gram-positive organisms.
    Here we describe the assignment of the H NMR spectrum of this novel compound.
  • 橋本 哲朗, 大川 博充, 森下 正教, 武安 一嘉, 椎木 一雄, 井本 隆
    1981 年 34 巻 6 号 p. 942-945
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抜歯によるBacteremiaが, 心疾患とくに人工弁設置者および免疫不全の基礎疾患をもつ患者では, Infectious endocarditis (I. E.) をひきおこしやすいことは, 周知のとおりである。American Heart Associationでは, このような基礎疾患のある患者に対して, 抜歯開始時に血中濃度がピークになるように抗生物質を投与するよう警告しており, 本邦においても当然のこととうけとられて, 抗生物質が術前投与されている。
    しかしながら, 投与された抗生物質の血中濃度を, うんぬんするのは, 四肢の静脈血中濃度のことであつて, 実際の抜歯創附近の血中濃度測定の報告はなく, 動物を用いた顎骨骨髄中濃度の報告を参考にして類推しているにすぎない。今回, われわれは, 患者に経口抗生物質を, 抜歯前に投与しておき, 抜歯直後の抜歯創内血液と肘静脈血液を同時採取して抗生物質の移行濃度を比較検討したので報告する。実験に供した経口抗生物質は, Clindamycin (CLDM) 300mg 23例, Cefadroxil (CDX) 500mg 11例, Talampicillin (TAPC) 250mg 12例で, それぞれ術前禁食させ投与した。
  • YUTAKA KOBAYASHI, YOSHIRO MORIKAWA, TSUNEKAZU HARUTA, RYOCHI FUJII, HI ...
    1981 年 34 巻 6 号 p. 946-954
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    The bacteriological and pharmacokinetic properties of cefotaxime, including antibacterial spectrum and activity and CSF penetration in animals, suggested that this compound may beclinically effective in the treatment of purulent meningitis in children. The safety and effectiveness of cefotaxime were therefore evaluated in a multicenter clinical trial carried out by the Pediatrics Research Group (Chairman: Prof. RYOCHI FUJII).
    Seventeen children with purulent meningitis were treated with cefotaxime. Four patients were aged less than 3 months, 5 from 3 to 12 months, and 8 from 1 to 3 years. The causative organisms were S. epidermidis, α-Streptococcus, S. pneumoniae and H. parainfluenzae in 1 patient each, H. influenzae in 5 patients, E. coli in 2 patients, and unknown in 6 patients.
    Cefotaxime was administered in a dose of about 50 mg/kg 4 to 6 times daily in 14 patients. The route of administration was intravenous bolus injection or 30-minute to 1-hour intravenous drip infus on in the majority of patients. The duration of treatment ranged from 7 to 35 days with a mean of 17 days.
    The therapeutic efficacy of cefotaxime was evaluated to be excellent in 10 patients, good in 5 patients, and failure in 2 patients for a responder rate of 88.2%. The 2 failures suffered from S. epidermidis and α-Streptococcus meningitis in association with a CSF shunt. Among the 15 cefotaxime responders, sequelae consisted of subdural effusion in 2 patients and cerebral palsy in 1 patient. The clinical condition of all 3 of these patients was severe and the initiation of treatment delayed. Sequelae were not noted in the other 12 patients. Eight laboratory abnormalities attributed to cefotaxime, consisting of 2 instances of eosinophilia, 4 elevations of GOT, and 2 elevations of GPT, were seen in 5 patients. All abnormalities were transient and not severe enough to warrant withdrawal of the drug.
    CSF concentrations of cefotaxime, determined 26 times after a 50 mg/kg intravenous bolus injection or 30-minute intravenous drip infusion in 5 patients ranged from a minimum of 1.0μg/ml to a maximum of 13.2μg/ml. Penetration to the CSF tended to decrease as the patient showed signs of recovery from meningitis, but concentrations of ≥4μg/ml, sufficiently above the MICs of causative organisms, were seen in most patients during the first week of treatment. CSF con-centrations of ampicillin were determined in 2 patients after a single 77 mg/kg intravenous bolus injection. In both patients ampicillin levels were lower than those seen after a 50 mg/kg intravenous dose of cefotaxime.
    Considering that cefotaxime is at least comparable to or superior to ampicillin in terms of antibacterial activity against group B Streptococcus and E. coli, and H. influenzae and S. pneumoniae, the major pathogens during neonatal and subsequent stages respectively, including ampicillin-resistant strains, the above results strongly suggest that cefotaxime should be the drug of choice for the treatment of purulent meningitis in neonates, infants, and older children.
  • 宮崎 信義, 大串 修, 加治木 章, 高本 正祗, 石橋 凡雄
    1981 年 34 巻 6 号 p. 955-958
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    外来における呼吸器感染症は, 内科診療においても大きな比重を占めている。治療する側としては, 呼吸器感染症の特性を知ると同時に, 感染起炎菌の変貌に留意して対応する必要にせまられている。
    今回著者らは, 米国ブリストル社によつて開発され, 汎用されてきたCephalexin (CEX) よりも優れた抗菌力をもつとされているCefatrizine (CFT) について, 外来診療におけるその臨床的有用性を検討したので, その結果を報告する。
  • 岡本 緩子, 前原 敬悟, 上田 良弘, 那須 勝, 神木 照雄, 入 久巳, 永井 龍夫, 熊本 悦明, 酒井 茂, 茂田 士郎, 小酒井 ...
    1981 年 34 巻 6 号 p. 959-975
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床材料から分離された各種の菌株について, 著者らは内服経口抗生剤の抗菌力を比較しすでに報告している。しかしながら, これらの分離材料は順天堂大学医学部からだけ提供されたものであり, その結果は1つの研究機関の測定結果としてだけ考えられ, すなわち結果に偏りがでるのではないかと懸念していた。今回, 長年臨床分離菌の感受性を検討してきた経験の深い, 全国の諸研究施設と共同研究を企画し, 臨床分離材料の明確化, 患者背景の把握さらに感受性測定を1ヵ所でおこなうことにより, 一定の結果が得られるように努力し, 地域的な差の解消, さらには測定結果から逆に感受性の地域的な偏在の有無などを検索できるのではないかと考えた。そこで尿路感染症患者を対象とし尿から分離される頻度の高いEscherichia coli, Klebsiella, CitrobacterおよびProteusを選択し, 全国各地の研究施設でこれらの菌を分離して, 順天堂大学中央検査室へ送付し経口抗菌剤の抗菌力を比較検討した結果を報告する。
  • 梅村 厚志, 磯野 美登利, 山田 規恵, 小林 とよ子, 渡辺 邦友, 上野 一恵
    1981 年 34 巻 6 号 p. 976-979
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbenicillin (SBPC) は1973年に開発された広域合成ペニシリンでグラム陽性, グラム陰性の好気性菌および嫌気性菌に強い抗菌力をもつている。SBPCの嫌気性菌に対する抗菌作用について, 著者らはすでに報告したが, 今回は1978年以後に各種臨床材料から分離した嫌気性菌のSBPCに対するin vivoの抗菌作用と, 近年注目されているPolymicrobial infectionについてdd-N系マウスを用い嫌気性菌であるBocteroides fragilisと好気性菌であるEscherichia coliとの実験的混合感染症について治療効果を検討したので報告する。
  • 人体各種組織内濃度および点滴静注による治療
    中村 孝, 橋本 伊久雄, 沢田 康夫, 三上 二郎, 戸次 英一, 葛西 洋一, 中西 昌美
    1981 年 34 巻 6 号 p. 980-993
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aminoglycoside系抗生剤のGentamicin (GM), Tobramycin (TOB), Amikacin (AMK) などは, グラム陽性菌から陰性菌にわたる幅広い抗菌スペクトラムをもち, 少量にて抗菌性を発揮する低いMICをもち, しかも炎症組織への移行性の良好な薬剤として, 広く使用されているが, 反面, 腎毒性と聴器および前庭神経障害があり, 蓄積性をもつとされ, このために本邦では筋注による使用だけがみとめられてきている。しかし筋注による投与は, 局所痛, 注射部位の硬結, 投与量の制限等の問題があり, さらに小児においては筋萎縮症の発生があるために, 適応に制限があつた。
    一方, 現在広く用いられているPenicillin系合成剤, およびCephalosporin系薬剤に対する耐性菌の増加が近年問題となり, グラム陰性桿菌群がこの大部分をしめることから, アミノ配糖体系薬剤の効果が再認識されることとなつてきた。
    欧米においては, 以前からAminoglycoside系薬剤の静注または点滴静注による使用が検討され, 実施されてきている。本邦においても近年アミノ配糖体の点滴静注による投与法の検討がおこなわれ, とくに筋注との比較が血中濃度, 尿中排泄等について検索され, 点滴静注法の有用性がみとめられつつある。しかし臨床効果との検討をおこなうためには, 血中濃度よりも, 感染病巣である炎症組織内の抗生剤濃度の検索がより必要であり, この方面の研究が必要であると考えられる。著者らは1976年からDibekacin (DKB) の人体各種組織内濃度についての検索を筋注によりおこなつてきたが, さらに点滴静注法による組織内濃度の検索をおこない, 筋注後の数値との比較検討をおこなつて, 多少の興味ある結果を得たので報告する。
  • 小林 裕, 森川 嘉郎, 春田 恒和, 黒木 茂一, 大倉 完悦, 藤原 徹
    1981 年 34 巻 6 号 p. 994-1001
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前報 において, われわれはCefotiam (CTM) の臨床分離株に対する抗菌力と黄色ブドウ球菌性髄膜炎家兎における100mg/kg静注後1/2, 1, 2時間の同時髄液血清比百分率について報告した。本剤の最小発育阻止濃度 (MIC) は, Staphylococcus aureus ではCefazolin (CEZ) と同等ないし1管程度劣るが, グラム陰性桿菌に対しては遙かにすぐれた抗菌力をもち, 同時髄液血清比百分率は30分12.2%, 1時間31.6%とかなり高い値であつた。本剤はHaemophilus influenzaeに対しても0.8mcg/mlにMIC分布のピークがあり, Ampicillin (ABPC) 耐性株にも有効である。もし髄液中への移行効率がよければ, 従来の髄膜炎化学療法が当面している問題の一部を解消し得る可能性があるが, 同時髄液血清比百分率と移行効率とは必ずしも一致するとは限らないので, さらに詳細な検討をおこなつた。また, 小児科領域研究会の1員として, 多少の臨床的経験を得たので, それらの成績を報告する。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 種田 陽一, 猪熊 和代
    1981 年 34 巻 6 号 p. 1002-1018
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (CTM) は, 7位の側鎖にAminothiazole環をもち, 3位の側鎖にはTetrazole環をもっCephalosporin系に属する新らしい抗生剤である。従来のCephalosporin剤に比較して, Escherichiacoli, Klebsiella pneumoniae, Proteusmirabilisなどのグラム陰性菌には一段と抗菌力が優れており, 又抗菌スペクトラムの面においても, Haemophilus influenzae, Enterobaeter, Citrobacter, Indole (+) Proteusにまで拡大されている。その血中半減期はCefazolin (CEZ) より短いが, Cephalothin (CET) よりは長いといわれる。また尿中排泄率は投与後6~8時間でおおよそ60~80%であり, 腎毒性についてはCETと同程度で弱いといわれている。
    今回, 我々は小児科領域において本剤の抗菌力, 吸収排泄, 臨床面での検討をおこなったので, その成績を報告する。
  • 岡本 健治, 志野 和子, 福家 宏, 渡辺 京子, 尾崎 元
    1981 年 34 巻 6 号 p. 1019-1026
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefbtiam (CTM) は武田薬品中央研究所で開発されたCephalosporin系に属する新らしい抗生物質で, 化学構造上7位側鎖にAminothiazole環をもち3位側鎖にTetrazole環をもつている。グラム陰性桿菌に対する抗菌力が強力であることが特徴とされている。
    今回, 著者らは小児科領域における細菌性感染症に対し, 本剤による治療を試みたので, その臨床効果と安全性にこついて述べる。
  • 西村 忠史, 広松 憲二, 高島 俊夫, 田吹 和雄, 小谷 泰
    1981 年 34 巻 6 号 p. 1027-1036
    発行日: 1981/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質とりわけセファロスポリン系薬剤の開発・発展は, 細菌感染症治療の進歩と相まつて深い関係をもつている。さて今日の化学療法の直面している問題点は, 従来の感染症に代つて, 宿主条件および病原微生物の変化が加わつた難治感染症治療にある。このような状況下での化学療法に要求される薬剤の殺菌効果の, より強化と抗菌域の拡大, さらに薬剤耐性打破は治療上からも当然であろう。難治感染症の主要菌種となるグラム陰性桿菌におけるβ-Lactamase産生菌の今日の増加と, 耐性化の問題は, 極めて重要な問題である。
    今度, 武田薬品中央研究所から開発されたCefotiam (CTM, SCE-963) は7位側鎖にAminothiazole環をもち, 3位側鎖にはTetrazole環をもつ新らしい抗生物質である。
    本剤は, 従来のセファロスポリン剤にくらべ, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisに対してin vitro, in vivoともすぐれた抗菌活性を示し, また抗菌スペクトラムの面でもHaemophilus influenzae, Enterobacter, Citrobacter, Indole陽性Proteusまで拡大され, 従来のセファロスポリン系抗生物質の弱点を補う特徴を備え, かつAmpicillin (ABPC) 耐性H. influenzaeにも有効であるとされている。
    本剤の吸収・排泄の面では, 半減期はCefazolin (CEZ) とCephalothin (CET) の中間に値し, 尿中排泄率は投与後6時間まででおよそ60~80%であり, さらに胆汁内への移行もよい。すでに本邦では, 基礎的および成人での臨床的検討が実施され, 第26回日本化学療法学会総会において本剤の特徴とその有用性が評価された。今回著者らはCTMの基礎的および臨床的検討をおこなう機会をえたので, その成績について述べる。
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