The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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外科領域におけるCefoxitinの使用経験
岩佐 博三村 一夫寺島 肇平出 星夫溝口 修身加辺 純雄田巻 国義黒川 胤臣初瀬 一夫竹村 克二門田 俊夫大崎 裕子
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1981 年 34 巻 6 号 p. 827-831

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抄録

Cefoxitin (CFX) は米国 Merck Sharp & Dohme Research LaboratoriesがStreptomyces lactamduransの産生する Cephamycin Cの誘導体として開発した最初の Cephamycin 系抗生物質であり, β-Lactam環の7α位にメトキシ基をもつため, 各種細菌が産生するβ-Lactamaseに対してきわめて安定である1)。
Cefoxitinは, 特に, グラム陰性桿菌のうち, 大腸菌, 肺炎桿菌, プロテウスに対して強い殺菌的抗菌作用を示し2, 4, 8), 従来のセファロスポリン, ペニシリン系薬剤に耐性を示す細菌に対しても優れた抗菌効果を発揮する2~5)。さらに, セファロスポリン, ペニシリン, アミノ配糖体系の抗生物質に耐性を示すといわれる偏性嫌気性菌バクテロイデス・フラジリスに対しても有効であると報告されている。
構造式はFig. 1に示すとおりである。
今回, 我々は, 下部消化管, 結腸・直腸疾患手術後の感染予防に対してCFX (マーキシン注射用) を使用する機会に恵まれたので, CFXを術直前および術後に投与し, 術後の全身状態, 創感染の有無, 合併症の有無およびCFXの皮下脂肪組織, 腸組織内濃度, 結腸・直腸における細菌感受性などを検索することにより, 下部消化管手術時の CFX の適性について臨床的に検討したので報告する。

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