1981 年 34 巻 6 号 p. 856-863
セフメタゾールは三共株式会社が開発したセファマイシン系の抗生物質で, 従来のセファロスポリン系の薬剤にくらべ, いくつかの利点をもつことが報告されている。これらの報告から, その特徴をまとめてみると, β-Lactamaseに対する抵抗性が強いこと, 従来のセファロスポリン系薬剤が効果の少ない, Proteus, Semtia, Bacte roides fragilisにも有効なこと, また, 慢性の呼吸器疾患の症状増悪との関連が注目されているインフルエンザ菌にも有効な点があげられている。
他の感染症と同様, 呼吸器感染症においても, 起炎菌の同定は重要であるが, 呼吸器疾患ではこれが必ずしも容易でなく, いろいろの検索法が試みられている。また, くり返し起る再燃のために種々の薬剤を使用する経過で菌交代症などにより治療がむずかしくなることも少なくない。したがつて, 呼吸器感染症の治療にあたつては, 起炎菌が明瞭でないばあいでもよい効果が期待できるように, 肺炎球菌, ブドウ球菌, インフルエンザ菌はもとより, グラム陰性桿菌に対してもより確実な効果が期待できる薬剤の使用が望まれる。
今回, このような利点をもつ抗生物質として市販されたセフメタゾール (商品名: セフメタゾン, CMZ) を使用し, 肺炎についてその有効性を検討したので報告する。