The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域における9, 3-Diacetylmidecamycinの基礎的・臨床的検討
西村 忠史高島 俊夫広松 憲二田吹 和雄高木 道生
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1982 年 35 巻 5 号 p. 1199-1206

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抄録

Macrolide系抗生物質は従来小児細菌感染症において, 呼吸器, ならびに種々の皮膚, 軟部組織化膿性疾患などのグラム陽性菌感染症に広く使用されて来た. しかし耐性菌の出現, またβ-Lactam系抗生物質の開発により, 使用範囲, 頻度も制限され, 今日では百日咳やマイコプラズマ感染症に対する適応が主となつている. しかしブドウ球菌の耐性化は勿論, 近年溶連菌にみられる耐性菌の増加は70-80%にも達し, 本剤の使用に際して新たな問題が生じている.
さて, Midecamycin (MDM) のエステル型誘導体である9, 3〃-Diacetylmidecamycin (MOM) は, MDMより毒性が低く, 消化管からきわめて速やかに吸収され, MDMより高い血中濃度を示す. また動物感染実験における50%有効量 (ED50), 抗菌力の点でもMDMよりすぐれているといわれている1, 2, 3, 4, 5).
今度, 本剤の成人領域での臨床評価6, 7, 8) に基づき, 小児科領域でも全国13施設の協同研究9) で本剤の検討がおこなわれたが著者らも本研究に参加し, MOMについての基礎的および臨床的検討をおこなつたのでその成績について述べる.

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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