The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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外科手術後感染症に対するCefoxitinの効果
加藤 紘之田辺 達三
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1982 年 35 巻 5 号 p. 1223-1228

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抄録

Cefoxitin (CFX, 商品名: マーキシン注射用) はセファマイシン系抗生物質の中で, β-Lactam環にMethoxy基を持つ, 抗菌スペクトルの広い抗生物質として, Merck Sharp & Dohme Research Laboratoriesで開発され, その後いくつかの臨床的検討がおこなわれて来た。その結果, Escherichiacoli, Klebsiella, インドール陽性Proteus, Serratiaなどのグラム陰性桿菌に優れた抗菌力を示すことが証明され, さらにセファロスポリン, ペニシリン, アミノ配糖体系薬剤などに耐性を示す嫌気性菌に対しても, 優れた抗菌力を持つことが示されている1~5).
近年外科領域の治療拡大に伴い, 術後感染症にも複雑な要因がからんでくる症例が増加し, 特に, 多種多量の抗生物質が使われるようになつた最近では, それらに耐性を持つ細菌の出現など治療困難例に直面することが多くなつた.さらに院内感染菌の複雑化は, 術後の感染予防を目的とした抗生物質の投与法にも慎重な配慮が必要なことを示しており, 外科医にとつてもこの方面の一層の探究が必要になつて来た.
今回著者らは, 外科手術後感染症, 特になんらかの分離株を証明しえた症例を中心に, CFXの臨床的効果および検出菌に対する感受性テストの結果などを検討する機会を得たので, 報告する.

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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