The Japanese Journal of Antibiotics
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産婦人科領域におけるPiperacillinの基礎的, 臨床的研究
村英 世岩田 嘉行林 茂
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1982 年 35 巻 9 号 p. 2195-2199

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抄録

産婦人科領域における感染症とくに婦人性器感染症は, 複数菌や嫌気性菌の検出率が高いなどの特色を有している1, 2) 6これら感染症に対して使用される抗生剤を選択するには, その有効性と安全性の両面から検討されるべきと考えられる。
Piperacillin (PIPC) は富輿化学工業 (株) 綜合研究所で開発した注射用合成Penicilli} 剤で, Ampici11in (ABPc) のAmino基に4。Ethyl-2, 3-dioxopiperazinylcarbonyl基を導入したものであり, すでに各科領域で繁用されている。PIPCはGram陽性および陰性の各種細菌に対し広範囲な抗菌スペクトラムを有し, Gram陰性桿菌とくにKlebsiella pneumniae, Proteussp., Serratia mamscensなどに対して優秀な抗菌力を有し,.Pseudomonas aeruginosaに対してはCarbenicillin (CBPC), Sulbenicillin (SBPC) よりも数段すぐれた抗菌力を示す。さらに.Bacteroides.fragilis, PeptocomssP., PePtostreptococcussp.などの嫌気性菌に対してもすぐれた抗菌力を有する。また, 一般毒性試験, 薬理試験においても安全性の高い薬剤であることが認められている3)。
今回, 我々はPIPCを腹式子宮全摘術施行患者に術前に静脈内投与し, 血清中濃度, 子宮組織および付属器内濃度について検討を加えるとともに, 婦人性器感染症6例に本剤を投与し, 臨床的検査を併せて行い, PIPCの有用性を検討したのでここに報告する。

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