The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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35 巻, 9 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 高井 明, 平井 嗣郎, 渡辺 勲, 平岩 徹, 阿部 典生, 荒井 博敏, 大森 雅春, 棚田 貴久子, 泉田 昇, 橋場 和彦, 松倉 ...
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2139-2154
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sodium 71β-[(2R, 3S)-2-(4-ethyl-2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamido)-3-hydroxybutanamidoj-7a-methoxy-3-[(1-methy1-1H-tetrazol-5-y1) thiomethy11-3-cephern-4-carboxylate (T-1982, Fig.1) は高野らによつて開発されたセファマイシン系抗生物質である1)。
    T-1982はグラ量場性菌およびグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトルをもち, とぐにグラム陰性菌のうちEscherichiαcoli, Klebsfella pneumnniae, Serratia mαrcemnsおよびProteus属に対し強い抗菌力をもつ。また, 各種細菌産生のβ-Lactamaseに対し強い抵抗性を示すほか, in vitro効果に比べ, どくに実験的感染症杷すぐれた効果を示すことが報告されている1, 2)。
    本報告は, T-1982に関する安全性研究の一環として, 一般薬理作用について検討したものである。
  • 中田 弘子, 滝本 陽子, 河村 泰仁, 高井 明
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2155-2158
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982は, 高野ら1) により開発されたFi9.1に示す化学構造式をもつ新しいCePhamycin系抗生物質であり, いグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して広範囲の抗菌スペクトラムを有する。 特に細菌の産生するβーLactamseに強い抵抗性を示し, 他の炉Lactam系抗生剤に耐性のEsche ichia coli, Proteus属およびSerratiα marcescensなどに優れた抗菌力を有する。 今回, T-1982のウサギに対する筋障害性作用について検討したのでその結果を報告する。
  • 才川 勇, 高井 明, 中島 良文, 池上 輝久, 早川 大善, 野口 雅志, 山内 博美, 清水 博子
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2159-2162
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982は高野ら1) によつて合成された新規セファマイシン系抗生物質で, β-Lactamaseに対して安定でグラム陽性菌ならびに陰性菌に対して優れた抗菌力を示す2)。
    著者らは既に14C-T-1982のラヅトおよびマウスにおける吸収, 分布および排泄について組織摘出法により検討し, その結果を報告した3)。 今回, 全身オートラジオグラフィーにより健常マウス, 妊娠マウスおよび実験的腎孟腎炎マウスを用いて, 14CT-1982の組織内分布, 胎仔への移行性ならびに感染病巣への到達性について検討を行い若干の知見を得たので報告する。
  • 才川 勇, 高井 明, 中島 良文, 池上 輝久, 早川 大善, 野口 雅志, 山内 博美, 清水 博子
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2163-2173
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1982は高野ら1) によつて合成された新しいセファマイシン系抗生物質で, グラム陽性ならびに陰性菌に対して優れた抗菌力を示す。またβ6Lactamaseに対しても強い抵抗性を示すのでβ」Lactamase産生菌に対しても強い抗菌力を示す。T-1982の生体内動態を明らかにすることは, 臨床における抗菌力の裏付けおよび安全性の予測をするために重要なことである。今回, 14C標識T-1982を用いて, ラットおよびマウスにおける吸収, 分布, 排泄について検討したのでその結果を報告する。
  • 福島 峰子
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2174-2179
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Piperacillin (PIPC) はAmpicillinのアミノ基に4Ethy1-2, 3-dioxopiperazinylcarbonyl基を導入した誘導体でFig.1の化学構造式で示される1)。従来の合成ぺニシリンに比べて, とくにPseudomonas aeruginosa, Klebsiellapneumoniae, Proteus, Escherichia coli, Serratiaなどのグラム陰性桿菌に対して抗菌作用が数倍強いといわれている2)。
    今回, 産婦人科感染症に対しPIPCを投与し, その効果を検討したので報告する。
  • 千村 哲朗, 小田 隆晴, 小関 憲, 松尾 正城
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2180-2188
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいβ-Lactam系抗生物質Piperacillin sodium (PIPC) は, AmpicillinのAmino基に4-Ethy1-2, 3-dioxopiperazinylcarbonyl基を導入した抗生剤であり, その抗菌Spectrumは広域でかつ殺菌的作用を示す1)。とくにKlebsiella, Proteus, Pseu4omonas, Serratiaなどに対し, 従来の合成Penicillin剤に比較し数倍優れた抗菌作用を示すことが報告されている2)。本剤の血中濃度上昇もDosereSponse的であり, 各臓器移行濃度も優れ, 体内でほとんど不活性化されることなく尿中に排泄される特徴を有している。すでに各科領域で繁用されており, 産婦人科領域の感染症に対しても優れた効果が期待できる。
    今回, われわれはPIPCの産婦人科領域での各種感染症に対する臨床効果と, 内性器移行について基礎的検討を行つたのでここに報告する。
  • 楠原 浩二, 中島 敏男, 安田 允, 久慈 直志, 寺島 芳輝, 蜂屋 祥一
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2189-2194
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Piperacillin (PIPC) はFig・1の構造式を示し, 緑膿菌を含む好気性のグラム陰・陽性菌から嫌気性菌まで広い抗菌スペクトラムを有するペニシリン系薬剤である1)。幾つかのペニシリン系, セフェム系抗生物質2) の血清中濃度の経時的推移は薬動力学的にTwo-compartmentmodelで解析されることが知られており, この解析結果は臨床における薬剤投与計画の指標となつている.
    今回著者らは, PIPC静注時における血清中濃度および婦人性器各組織内濃度の経時的測定の機会を得, 産婦人科領域における臨床適用の一助としてこれらの測定値を用いて薬動力学的解析を行い, 若干の知見を得たので報告する。
  • 村英 世, 岩田 嘉行, 林 茂
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2195-2199
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科領域における感染症とくに婦人性器感染症は, 複数菌や嫌気性菌の検出率が高いなどの特色を有している1, 2) 6これら感染症に対して使用される抗生剤を選択するには, その有効性と安全性の両面から検討されるべきと考えられる。
    Piperacillin (PIPC) は富輿化学工業 (株) 綜合研究所で開発した注射用合成Penicilli} 剤で, Ampici11in (ABPc) のAmino基に4。Ethyl-2, 3-dioxopiperazinylcarbonyl基を導入したものであり, すでに各科領域で繁用されている。PIPCはGram陽性および陰性の各種細菌に対し広範囲な抗菌スペクトラムを有し, Gram陰性桿菌とくにKlebsiella pneumniae, Proteussp., Serratia mamscensなどに対して優秀な抗菌力を有し,.Pseudomonas aeruginosaに対してはCarbenicillin (CBPC), Sulbenicillin (SBPC) よりも数段すぐれた抗菌力を示す。さらに.Bacteroides.fragilis, PeptocomssP., PePtostreptococcussp.などの嫌気性菌に対してもすぐれた抗菌力を有する。また, 一般毒性試験, 薬理試験においても安全性の高い薬剤であることが認められている3)。
    今回, 我々はPIPCを腹式子宮全摘術施行患者に術前に静脈内投与し, 血清中濃度, 子宮組織および付属器内濃度について検討を加えるとともに, 婦人性器感染症6例に本剤を投与し, 臨床的検査を併せて行い, PIPCの有用性を検討したのでここに報告する。
  • 大塚 尚之, 植村 次雄, 水口 弘司
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2200-2205
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年の抗生物質の進歩は著しい。特にβ・Lactam環を有する抗生物質は, 抗菌スペクトル, 抗菌力などにすぐれた毒性の少ない新誘導体が, 次々と臨床に供されている。
    Piperacillin (PIPC) は, 富山化学工業 (株) で開発されたAmpicillinの誘導体で, 図1の化学構造式を有し・すでに各科領域で繁用されている。
    本剤は, 従来の抗生物質に比ぺ, グラム陽性菌はもとより, グラム陰性菌にまで広範囲の抗菌スペクトルを持ち, 近年の産婦人科領域で臨床上問題となつているKlebsiesiellae, Proteus, Pseudomonas aeruginosaなどのグラム陰性桿菌に対してすぐれた抗菌力が見られる。一方, 本剤の毒性は低く, 安全性の高いことも証明されている1)。
    今回, 我々は本剤を使用しての婦人科領域における基礎的, 臨床的検討を試み, 一連の成果を得ることが出来たので, その成績について報告する。
  • 岩崎 武輝, 町原 充
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2206-2212
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    一般に抗生剤は, 胎盤を通過して母体血中濃度の約1/8-1/3が胎児へ移行すると考えられているが, 羊水への移行は低いといわれている。前・早期破水を起した妊婦は, 直ちに羊本感染あるいは子宮内胎児感染1, 2) を起すわけではないが, 周産期児死亡の0.6%が周産期に特異的な感染によるものである3, 4) ことから考えても, 羊水感染に十分な注意を払わなければならない。したがつて, 抗生剤の臍帯血および羊水中濃度について検討する臨床的意義は大きい。
    今回, 我々は富山化学綜合研究所で開発された注射用合成ペニシリン剤Piperacillin (PIPC) の母体血, 臍帯血および羊水中への移行を検討する機会を得たので報告する。
  • 木藤 光彦
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2213-2218
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近代外科学の進歩は麻酔, 輸血および輸液等の全身的管理面の発展によるところも大きいが, また抗生物質の発達によつて術後感染防止対策が講じられ, 今日のめざましい外科治療成績が得られている。
    消化器外科領域ではβ-ラクタム系抗生剤の使用頻度は高く, その作用が殺菌的であり, 全身的副作用も少ないこと等が使用頻度の多い最大の理由とされている。β-ラクタム系抗生剤はその安全性のゆえ大量投与も可能ということで術後の感染防止, あるいは術後感染症の治療において, その高い有用性が認められてきた。
    しかし, このβ-ラクタム系抗生剤においても細菌と宿主間の宿命的現象ともとれる耐性菌出現の問題からは完全には回避できず, 外科領域では感染治癒遅延因子の分析が重ねられるうち, β-ラクタム系抗生剤耐性菌が, その一因に関与するとの解釈が近年加えられた。このため, 耐性菌対策が外科領域では早急に解決されなければならない問題の1つにとりあげられてきた。
    一方, 臨床細菌学的領域および臨床薬理学的領域では, すでに数年前から, その対策が講じられており耐性株におけるβ-ラクタム環加水分解酵素 (β-ラクタマーゼ) 1) の発見からβ-ラクタム環抵抗性増加, 安定化を目ざす抗生剤の開発的研究はつよく推進されてきた。
    その結果, 現在, 各種側鎖の化学修飾2) による, いくつかの新しいβ-ラクタム系抗生剤の誕生をみるにいたり, それらの臨床的効果は大いに期待される。そのうちの1つであるβ-ラクタム環の7α 位に, メトキシ基をもつことでβ-ラクタマーゼに抵抗性を有するセフォキシチンナトリウム (マーキシン注射用, 以下CFXと略) の使用機会がえられたので, 使用内容, 臨床的効果および副作用につき検討を加えた。
  • 山本 剛義, 難波 良司, 田口 雅史, 伝 春光, 南良 尚, 植田 和雅, 津島 哲也, 森鼻 健史, 永田 研一, 中尾 薫, 島田 ...
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2219-2233
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (CTM) は本邦で開発された合成セフエム系剤で, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対し広範な抗菌スペクトラムを有し, 既存のセフエム系剤では抗菌活性が少ないIndolo陽性Pmteus, Enterobocter, CitrobocterおよびHaemophilus influenzaeにまで強い抗菌力を有する抗生物質1) と言われている。この優れた抗菌力により本剤は臨床面における有用性が期待されており, 強力な抗菌力と併せてその組織移行性, 副作用の確認が急がれている。今回我々は本剤の口腔外科領域における基礎的, 臨床的検討を以下の方法で行い, 本剤の優れた有効性を確認することができたので, その概要を報告する。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫, 松本 清幸
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2234-2240
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiamは武田薬品工業中央研究所により開発された注射用合成セフェム系抗生物質で, グラム陽性球菌, グラム陰性桿菌に有効であり, とくに1Haemophilus influemzoeに対してはすぐれた抗菌力を示すと報告されている1, 2)。今回われわれは, 臨床検査としての本剤のディスク法による感受性測定法を検討したので報告する。
    Cefotiamのように新しく出現した薬剤の臨床的な感受性, 耐性に相当する最小発育阻止濃度 (MIC) 値の基準は全く不明で, 暫定的には推定される体液中有効濃度との関連から一応の基準が論ぜられたとしても最終的には多くの起炎菌について得たMIC値と, 薬剤使用による臨床効果との集計の上に, 将来定められるベきものであり, したがつて現時点においては適当に規定された実験条件でのMICを推定することが臨床的感受性検査の目的と考えられる。この目的に沿うように, すでに金沢3-6)により設定されたMIC値の推定を目的とするSingle-disc法による各種化学療法剤の感受性測定法についてたびたび報告して来たが, Cefotiamについても季法が適用されるかどうかを検討した。
  • 目黒 英典, 荒木 和子, 藤井 良知, 米沢 弘幸, 東郷 知子, 柱 新太郎
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2241-2248
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ヘルペス科ウイルスのうちCytomegalovirus (CMV), Varicella-zoster virus (VZV), およびHerpes simplexvirus (HSV) はOPPortunistic infbctionの1因子であり, 免疫不全状態の患者などでは重症化しやすく, 致命的となる場合もある1, 2)。正常人でも水痘肺炎, HSV脳炎, 新生児HSV感染症, 新生児全身性CMV感染症など時に重症例が経験され, 抗ウィルス療法の必要性が指摘されてきた。米国ではすでに抗ウィルス剤としてAdeninearabinoside (Ara-A, Vidarabine) が市販されて, HSV脳炎および角膜ヘルペスが適応症とされている。Ara-AはVZV感染症にも効果が認められているが, CMV感染症には期待できないようである。わが国ではCytosinearabinoside (Ara-C) などがOpenltrialとして試みられてきたが, 副作用と体内動態に欠点があり, 米国での二重盲検法では効果が確認されなかつた3)。
    Ara-Cの類似物質であるCyclocytidine (Cyclo-C, Ancitabine) はAra-Cに比べて体内動態が優れ, 副作用も軽減されており, ヘルペス科ウイルスに対する抗ウィルス作用はAra-Cよりやや優れている4)。我々は以前から本剤の抗ウイルス作用に注目していたが, 臨床使用は著者らの報告を含めてわずかに散見されるにすぎない5~11)。我々はその後症例を追加して10例の小児でCyclo-Cの抗ウイルス剤としての効果と安全性について検討したので報告する。
  • 笹津 備規, 河野 恵
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2249-2251
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    微生物感染症に対する抗生物質療法には副作用が少ないことから, β-ラクタム系抗生物質が最も多く用いられている。中でも注射用のものとしてはグラム陰性菌に強い抗菌力を発揮し, 高い血中濃度の維持と腎毒性が低いなどの理由からセファゾリン (CEZ) がわが国では多用されている。抗生物質の多用はその結果として耐性菌の出現がみられることはよく知られているが, いろいろな抗生物質に多剤耐性化し易い菌種として黄色ブドウ球菌があり, 実際にこれら黄色ブドウ球菌がCEZにも耐性化してきていることが小酒井1) により報告されている。このようなCEZ耐性黄色ブドウ球菌はアミノ配糖体抗生物質であるゲンタマイシン (GM) にも耐性化していることが中山 (私信) により指摘されている。島田ら2) はGM耐性黄色ブドウ球菌に対してはネチルマイシン (NTL) がよりすぐれた抗菌性を示し, GM中等度耐性黄色ブドウ球菌感染症に対しては, NTLの臨床効果が期待できると述べている。著者らはCEZ耐性黄色ブドウ球菌がGMにも耐性化しているかどうか, GM耐性黄色ブドウ球菌に対しNTLはすぐれた抗菌力を示すかどうかについて, 新鮮分離菌株について検討したのでここに述ベる。
  • 早崎 源基, 岩砂 眞一, 近藤 英明, 伊藤 邦彦, 野田 克巳
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2252-2276
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoxime (CZX: FK-749, Epocelin (R)) は藤沢薬品工業株式会社中央研究所において開発された3位側鎖がなく, 7位Acyl基のα位にMethoxyimino基を有するCephalosporinで, 種々のβ-Lactamaseに対して安定なばかりでなく, Ia型以外のものに対しては結合親和性も低く, 将来にわたりβ-Lactamase産生菌に対する有効な治療薬であると期待される1)。
    CZXは広い抗菌スペクトルを有し, グラム陰性桿菌に対しては, Escherichia coli, Klebsiella, Proteus mirabilisなどに対してはもちろん従来のCephalosporin剤では抗菌力が弱かつたHaemophilus influenzae, Indole陽性Proteus, Serratia, Enterobacter, CitrobacterBacteroides fragilisをはじめとする嫌気性菌に対しても強い抗菌力を示す2, 3)。
    今回CZXについて検討する機会を得たので, CZX1g, 1時間点滴静注時の女性性器組織への移行, 女性性器感染症分離菌に対するCZXの抗菌力および数例の臨床例に本剤を使用した成績について報告する。
  • 藺守 龍雄, 松田 浩珍, 東条 雅彦, 鎌田 洋一
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2277-2287
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化膿性中耳炎は, 人の耳鼻臨床領域における感染症として重要視されているが, 主な起炎菌として, staphyJococcus, Diplococcus, streptococcus, Pseudomonas等が挙げられている1)。
    また, 治療法については, 古くから実施されてきた外科的手段が慢性型の場合, 今日なお有効に実施されているが, 急性型においては近年, 進歩の著しい化学療法が効果を上げている2)。
    我々は, 今回, 犬を用いて, 化膿性中耳炎の実験モデルを作成し, さらに作成したモデルを使つて, Cef症netazole (CMZ;セフメタゾン, 三共) による治療試験を行つた。
    犬の化膿性中耳炎の自然発生例は, 決して少なくないことが近年SPRUELL3) やFRASERら4) によつて明らかにされた。すなわち, 多発する犬の外耳炎の局所的治療が効を奏さず長期にわたつたものの約半数が中耳炎を併発していたし, また, 急性外耳炎と診断されたものの16%が中耳炎を併発していたと報告している3)。
    犬の化膿性中耳炎の臨床的診断は, その初期段階で確信を得ることはほとんど不可能に近い。理由として, 犬の外耳道が人に比ペてかなり長く, かつ湾曲が著しいために, 普通の耳鏡を用いた場合, 鼓膜付近の観察が極めて困難である点が挙げられる。しかし, 慢性化して鼓室粘膜の線維性増殖による肥厚が顕著になつたもの, または鼓室内に多量の膿汁が貯留したものなどについては, X-rayによる診断が可能となる。
    犬の中耳炎発症には前述のように外耳炎の存在, または発症と因果関係が深いとの推論が今や常識化しているが, 一方健康犬について中耳内の細菌フローラを調査した報告によると, staphylococcus, streptococcus, Escherichiacoli, Mficrococcus等が中耳内に常在することがかなり多いと指摘されている4)。
    ただ, 犬の化膿性中耳炎の起炎菌として挙げられているのはStophylococcusを除いては, 通常健康犬の中耳内から発見されることの無いPseudomonasやProteus, およびYeast類が主であり, 他はきわめて少ないとされている。以上のような状況から, 今回われわれは犬の化膿性中耳炎の実験的作成にStaphy1ococcus aureusを選んだ。本実験は1980年12月から1981年12月の間に行つたものである。
  • 増田 剛太, 楊 振典, 根岸 昌功, 渡辺 富博, 山崎 悦子, 茂手木 皓喜
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2288-2292
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    グラム陰性桿菌は日和見感染症の起因菌として, 今日, 極めて高頻度に分離される。Cefmetazoleはこれらグラム陰性桿菌, とくにEscherichiacoli, Klebsiellasp.や嫌気性菌であるBacteroi4es介agilisに対して強い抗菌力を示す抗生剤である1)。本製剤のこれら細菌に対する作用様式は他のβ-Lactam製剤と同様, 一般に殺菌的であるとされる。一方, 現在広く行われているin vitro抗菌力の評価は, MICや最小殺菌濃度 (MLC) で代表されるように, 菌-抗菌製剤を1夜 (18-24時間) という長時間接触させた後の菌数変化を指標とする。しかし, 臨床で抗生剤を経日, 筋注, 経静脈内注入などの方法で投与した場合に得られる抗生剤の組織液や病巣などにおける有効抗菌濃度の持続は通常数時間程度である2, 3) ◎従つて, MICやMLCは臨床効果を演繹的に解析する指標としては, 菌-抗生剤接触時間という点から見ても, 必ずしも最適ではないと考える。そこで, 抗生剤作用時間を臨床での菌一抗生剤接触時間に近似の数時間程度とした実験系を開発し4-6), 本法を用いて短時間抗生剤作用時のCe仁metazoleの作用様式を検討した。
  • 片山 憲侍, 和田 達雄, 葛西 洋一, 佐野 文男, 阿保 七三郎, 三浦 秀男, 葛西 森夫, 西平 哲郎, 岩塚 迫雄, 帯津 良一, ...
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2293-2313
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Bleomycinの誘導体であるPeplomycinの抗腫瘍性は, 基礎的実験によれば, 従来のBleomycinとほぼ同等かまたはやや強く, 肺線維症の発生は約113と報告1) されている。また, 臨床的にも, PhaseIおよびPhaseII study2-6) で悪性リンパ腫, 皮膚癌, 頭頸部癌に抗腫瘍効果が認められ, 現在皮膚癌および頭頸部癌に対して広く使用されている。
    Bleomycinの食道癌への抗腫瘍効果はすでに周知の事実であるが, 今回はPeplomycinの食道癌に対する有効性および安全性を確立する目的で, 第1回ペプレオマィシン食道癌研究会が, 1980年7月9日に京都で開催された。そして種々の討論の結果, Pepleomycinの食道癌に対するPhaseIIstudy実施要綱を決定した。この要綱にもとつく研究を各施設が開始し, 1981年10月26日に東京で開催された第2回ペプロマイシン食道癌研究会において, 全国25施設 (表1) から研究成果の発表があつた。以下の報告は, これら25施設の発表を集計したものである。
    なお第1回研究会において, Pepleomycinと呼称されていたが, WHOの指示に従いPeplomycinと一般名が決定した。
  • YOSHIYUKI KAWAKAMI, YUKIE OKIMURA, NAOKO HORIUCHI, MASAMITSU KANAI
    1982 年 35 巻 9 号 p. 2314-2317
    発行日: 1982/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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