The Japanese Journal of Antibiotics
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耳鼻咽喉科感染症に対するCefotiamの使用経験
夜陣 紘治原田 康夫竹内 實築家 大介野田 益弘平田 賢三
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1983 年 36 巻 10 号 p. 2721-2729

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抄録

近年, 耳鼻咽喉科領域の感染病巣からは, Staphylocoms aureus, Streptococcus pyogenesを中心とするグラム陽性球菌や, Proteus, Klebsiella, Pseudomonas aeruginosaなどのグラム陰性桿菌が分離される頻度が高くなつており, 耳鼻咽喉科感染症はますます複雑な病像を呈しつつあると言われている1)。このような複雑な或いは重症感染症に対しては, Cephalosporin系抗生物質の投与される頻度が高くなつて来ている。今回, 我々は新Cephalosporin系抗生物質であるCefotiam (CTM) を, 耳鼻咽喉科感染症に対して臨床応用する機会を得たので以下報告する。
CTMは, 武田薬品, 日本チバガイギー社で開発された注射用Cephalosporin系抗生物質で, 7-ACAの7位側鎖にAminothiazole環, 3位側鎖にTetrazole環を持つ, Fig.1に示すような構造式を有している。本剤のin vitroにおける抗菌力は, 従来のCephalosporin系抗生物質に比べ, 特にグラム陰性菌に対して優れており, Indole陽性Proteus, Enterobacter, Citrobacter及びHaemophilus influenzaeにまで抗菌スペクトラムが拡大されているのが特徴である3, 4)。本剤の基礎的及び臨床的成績は, すでに第26回日本化学療法学会総会において発表されている2)。
以下, 本剤の臨床成績の大要について報告する。

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