1983 年 36 巻 10 号 p. 2901-2912
Cefotaxime (CTX, Claforan (R)) は新注射用Cephem系抗生物質で1), 構造上の特徴としてはFig.1の構造式で示すように, 7-Aminocephalosporanic acid (7-ACA) の7位にアミノチアゾール核とメトキシイミノ基を有することにある。本剤はβ-Lactamaseに対する安定性が極めて高く2), 抗菌力を従来のCephem系抗生物質と対比すると, グラム陽性菌のブドウ球菌には他剤と同程度, 溶連菌には優れた抗菌力を示し, グラム陰性菌, 特に腸内細菌に対しては極めて強い抗菌力を示す。これに加えて緑膿菌に対してもCarbenicillinより強い抗菌力を有していると言われている3)。これら優れた抗菌力を有するCTXは特に難治性の感染症の治療に極めて有益であると考えられるので, 今回我々は, 種々の基礎疾患を有する感染症を中心に検討し, その有用性について若干の知見を得ることができたので報告する。