The Japanese Journal of Antibiotics
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Micronomicinの感受性ディスク法に関する検討
金沢 裕倉又 利夫松本 清幸
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1983 年 36 巻 10 号 p. 2913-2920

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抄録

Micronomicin (MCR) は協和醗酵工業 (株) において発見・開発された新しいアミノグリコシド系抗生物質である1~3)。本剤はGentamicinと抗菌性, 体内動態などはほぼ同様である4) が, アミノグリコシド系抗生物質で問題視される第VIII脳神経系及び腎臓に対する影響が, 同系の抗生物質の中でもかなり弱いことが報告されている5~7)。又, 本剤は6'-アミノ基にメチル基がついているので, 近年Serratia sp.などで増加傾向にあるとされるAAC (6')-IVにも不活性化されない長所があり, 臨床的にも今後広く使用されるアミノグリコシド剤の1つと考えられる。
MCRのように新しく出現した薬剤の臨床的な感受性, 耐性に相当する最小発育阻止濃度 (MIC) 値の基準は全く不明で, 暫定的には推定される体液中有効濃度との関連から一応の基準が論ぜられたとしても最終的には多くの起炎菌について得たMIC値と, 薬剤投与による臨床効果との集計の上に, 将来定められるべきものであり, 従つて現時点においては適当に規定された実験条件でのMIC値を推定することが臨床的感受性検査の目的と考えられる。この目的に沿うように, すでに金沢9~12) により設定されたMIC値の推定を目的とするSingle-disc法による各種化学療法剤の感受性測定法についてたびたび報告した。今回はMCRについても本法が適用されるかどうかを検討した。

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