1983 年 36 巻 11 号 p. 3302-3311
アミノ配糖体系抗生剤は腎毒性, 聴器毒性のあることが知られており, 有効濃度と中毒濃度の幅がペニシリン系やセファロスポリン系抗生剤に比べて狭い。従つて従来は筋注投与で用いられていたが, 乳幼児に対する筋注投与での大腿四頭筋障害や出血傾向がある時の問題, 輸液が行われている際には経静脈的に投与する方が患者にとつても楽であるなどの点からアミノ配糖体系抗生剤の点滴静注法が少なからず用いられている1)。アミノ配糖体系抗生剤の腎毒性についてはそのメカニズムが十分判明しているとは言い難い面もあるが, 点滴静注法でも投与量と投与時間の調節によつてほぼ筋肉内投与時と同等の血中濃度推移, 尿中回収率が得られることが知られている2)。
そこで比較的腎毒性が少ないと言われている3, 4) 硫酸ミクロノマイシン (MCR) を健康成人男子に点滴静注し, 血中濃度, 尿中回収率などを調べ, 更に少数例ではあるが臨床例に投与し, 安全性, 有効性などについて検討した。