The Japanese Journal of Antibiotics
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外科, 産婦人科領域におけるMicronomicin点滴静注の検討
菊地 金男平山 隆
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1983 年 36 巻 11 号 p. 3312-3320

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抄録

近年高令者社会の出現と共に, 外科領域においてもグラム陰性桿菌によるいわゆる日和見感染に遭遇し, 治療に難渋する場合が少なくない。アミノ配糖体系抗生剤 (以下AGs) は, グラム陰性桿菌, 特に緑膿菌, 大腸菌, クレブシェラ菌に対してBactericidalな強い抗菌作用を有する抗生剤であるが, 第8脳神経障害に伴う難聴, 腎障害などの副作用を招くことがあり, 更に投与法として筋肉内注射に制限されているため高令者, 乳幼児あるいは術直後の患者に対する投与に躊躇する例をしばしば経験している。著者らは, 外科的感染症に対してAGsの一つであるGentamicin (以下GM) の静注法を行い, 耳鳴, 難聴, 腎障害などの副作用は全く認められなかつたことを報告1) した。最近開発されたMicronomicin (以下MCR) は構造的にGMに類似し, 抗菌スペクトル, 抗菌力ともGMとほぼ同等であるが, 毒性は軽度であることが知られている。
今回東北地区主要病院の外科, 脳外科, 産婦人科の協力を得て, 入院患者を対象にMCRの点滴静注を行い, 臨床効果並びに副作用について検討したので報告する。

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