1983 年 36 巻 12 号 p. 3359-3391
Tobramycin (以下TOBと略す) はStreptomyces tenebrariusが産生するアミノグリコシド系抗生物質で, 1970年アメリカEliLilly社研究所で開発されたものであり1), 化学構造式はFig.1に示した。化学名はO-3-Amino-3-deoxy-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-O-[2, 6-diamino-2, 3, 6-trideoxy-α-D-ribo-hexopyranosyl-(1→6) 】-2-deoxy-L-streptamineで, 分子式はC13H87N5O9, 分子量は467である。本剤の作用機序はGentamicin (GM), Dibekacin (DKB) などと同様に細菌の蛋白合成阻害作用を有し, Staphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosa, Escherichia coli, Proteus sp. Klebsiella sp.Enterobacter sp.などの各種グラム陽性及び陰性菌に対して優れた抗菌力を示し2), 各種感染症に繁用されている。アミノグリコシド系抗生物質特有の副作用として第8脳神経障害, 腎障害などがあるが, その程度はGMに比べ弱いと言われている3, 4)。
今回, 我々はより適正な投与方法を検討するため, 呼吸器感染症に対するTOB 1回90mg 1日2回投与 (以下90mg群と略す) の有効性, 安全性を検討する目的で, TOBの承認用法・用量である1回60mg 1日3回投与 (以下60mg群と略す) を対照として, Well controlled comparative studyを実施し, 興味ある成績を得たので報告する。