The Japanese Journal of Antibiotics
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脳外科術後の予防的抗生物質投与法
Cefbtiam髄液内移行から
今川 健司野村 隆吉浅井 昭林 誠之戸田 稲三川崎 道朗
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1983 年 36 巻 12 号 p. 3422-3428

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抄録

脳神経外科領域での術後感染における頭蓋内感染症のなかでも髄膜炎の予防を目的として, 手術に際し消毒操作を徹底し無菌的な状態にする一方, 抗生物質の全身投与が行われている1, 2)。
抗生物質は全身投与により循環系を経て各臓器に移行するので, 各臓器の濃度が実質的な濃度として重要視されている。中枢神経系への移行については, 従来から正常な髄液循環動態では, Chloramphenicol, Sulfonamide, Tetracycline以外の抗生物質は, 全身投与の場合, 血液, 脳及び脳脊髄液関門のためにほとんど髄液中に移行しないか, 移行しても少量であるとされている3~8)。
一方, 脳神経外科領域で何らかの侵襲が加わつた場合の髄液内移行は, 手術侵襲, 疾患などの条件が, 血液, 脳及び脳脊髄液関門の程度にも反映されることが考えられる。
そこで, われわれは, 広域抗生剤で安全に使用できるCephem系薬剤であるCefotiam (以下CTMと略す) を全身投与し, 経時的に髄液内濃度を測定し, 抗生物質の予防的投与法につき検討した。

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