The Japanese Journal of Antibiotics
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先天性胆道閉鎖症根治術後症例におけるCefotiamの胆汁中移行に関する検討
宮野 武新井 健男駿河 敬次郎西遠寺 克
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1983 年 36 巻 12 号 p. 3429-3436

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抄録

先天性胆道閉鎖症 (以下CBAと略) の治療成績は年々向上しつつあるものの未だ幾多の困難な問題点を残している。特に長期生存例の増加に伴い, 門脈圧亢進症の合併が問題となりつつあるものの, なお根治術後早期及び長期の治療成績に影響を与える最も重要な因子として, 術後の逆行性胆管炎がある。
この胆管炎の予防及び治療に際しては, 抗生剤投与が最も重要であることは言うまでもない。しかしながら, 小児期の抗生物質の胆道への排泄に関する研究は極めて少なく1~3), 特に肝機能障害を有する小児, ましてCBA症例における抗生物質の胆汁中移行に関する報告は極めて少ない4~6)。
我々がCBA根治術に際し, 逆行性胆管炎の防止術式として用いる駿河II法による外胆汁空腸瘻は, 肝内部から流出する胆汁を全て採取可能である (写真1, 図1)。従つて, 本術式は胆汁中への抗生物質の移行を知るには極めて好都合な術式となつている。そこで今回, 我々が本術式により根治術を行つたCBA術後症例につき, 経静脈的に投与したCefotiam (以下CTMと略) の血清中及び胆汁中移行を測定し, 若干の知見を得たので報告する。

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