1983 年 36 巻 3 号 p. 487-499
最近のβ-Lactam系抗生物質(Penicillin, Cephem系抗生物質) は広範囲な抗菌スペクトルを有し吸収性に優れ, 且つ毒性の少ない薬剤として, 臨床各領域の感染症に対して広く使用されてきた。しかしながら近年感染症の起炎菌としてβ-Lactam系抗生物質耐性菌が出現してきており, これらの薬剤に抵抗性を示す難治性感染症が注目されてきているのが現状である。
BRL25000は英国ビーチャム社で開発されたClavulanic acid (以下CVA) とAmoxicillin (以下AMPC)の1:2の配合剤である。CVAはβ-Lactamase阻害剤で図1に示す化学構造式を持ち, 従来のAMPCとの併用によりβ-Lactamase産生菌に対して強い抗菌力が期待される薬剤である1)。
今回我々はBRL 25000を産婦人科領域の感染症のうち, 子宮付属器炎, 子宮内感染症, 子宮労結合織炎, 骨盤死腔炎等に対して使用する機会を得たので, 臨床的検討を加えて報告する。