The Japanese Journal of Antibiotics
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硫酸Paromomycinによる広節裂頭条虫の駆虫成績
長瀬 清斉藤 雅雄宮崎 保横田 慎一小林 正伸佐々木 千尋上畠 泰浅香 正博
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1983 年 36 巻 3 号 p. 615-618

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抄録

サケ, マスの生食の機会の多い北海道において, 条虫症はわれわれ臨床医により稀ならず遭遇する疾患である。駆虫法としては, DAMASODERIVASの方法の様な硫酸マグネシウム, 生理食塩水, グリセリンを十二指腸ゾンデを通し小腸に注入, 機械的に排出を計る方法に対し, 古くからQuinacrine, Kamala, Bithionol (Bitin) などの薬物が使用されていた。
ULIVELLI1) やSALEM2, 3) などが硫酸Paromomycin (Aminosidine) の条虫症に対する駆虫効果の報告の後, 本邦では金沢4) によりはじめて条虫症の駆虫報告がなされ, その駆虫効果が注目されるに至つた。
今回, われわれは広節裂頭条虫症に対し, 硫酸Paromomycinを用い駆虫を試み, 良好な結果を得たので報告する。
硫酸Paromomycinは放線菌の一種であるStreptomyces chmtomyceticusが産生する図1のような構造を有するアミノ配糖体系抗生物質である。
本剤は経口投与によりほとんど腸管から吸収されず5), 又副作用も下痢, 腹痛, 悪心, 嘔吐などが時にみられるが, いずれも一過性で安全性も高いといわれる6の。マウスに対する急性毒性LD50は静注で90±3mg/kg, 皮下注で423±24mg/kgであり, 経口では2,275mg/kgである。

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