The Japanese Journal of Antibiotics
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硫酸Paromomycinによる広節裂頭条虫症の治療成績と薬剤の虫体に対する障害作用に関する検討
吉村 裕之赤尾 信明近藤 力王至大西 義博
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1983 年 36 巻 3 号 p. 625-631

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抄録

広節裂頭条虫症の治療には, 古くは綿馬エキス, ザクロ根皮, カマラ, アテブリン(キナクリン)等の駆虫剤が用いられてきたが, 駆虫効果が不安定であつたり, 悪心・嘔吐などの副作用を伴うことが多かつた。近年, Niclosamide, Bithionol, Paromomycinの抗条虫作用を持つ化学合成剤や抗生物質が広節裂頭条虫だけでなく, 各種条虫の駆虫剤として広く用いられるようになつた。しかし, Niclosamideは国内では入手が困難で且つ副作用の点から我が国では現在用いられておらず, もつぼら後2者を用いて治療がなされている。著者らも北陸地方における広節裂頭条虫症の実態を調査, 集計し, 上記薬剤にカマラを加えた4種薬剤の駆虫効果を比較検討し報告した14~16)。
今回は1980年以降に硫酸Paromomycin(Aminosidine)を用いて駆虫を行つた24症例について, その臨床所見並びに駆虫成績を報告すると共に, in vitroにおける硫酸Paromomycin (Aminosidine) の虫体に対する作用機序, なかんずく薬剤の虫体組織に及ぼす影響の検討も行つたので併せて報告する。

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