1983 年 36 巻 7 号 p. 1973-1994
急性化膿性中耳炎は主としてグラム陽性菌 (Streptococcus pneumoniae, Staphylococcus aureus, β-Streptococcus) やインフルエンザ菌 (Haemophilus influenzae) が原因菌となることが多く, その治療 (化学療法) にはペニシリン系あるいはセファロスポリン系の経口抗生剤が第1選択剤として広く汎用されている1)。
KS-R1は油脂性基剤にアンピシリン (ABPC) を125mg (力価) 又は250mg (力価) 含有する肛門用坐剤で, 経口剤と同等以上更には筋注に匹敵する有効性あるいは安全性を得ることを目的として住友化学, 京都薬品両社で開発された薬剤である。KS-R1についてはすでに小児科領域における基礎的・臨床的検討が進んでおり, 経口に比べて約4倍の血中濃度のPeakが得られ筋注に匹敵するBioavailabilityを有する2) と言われている。
これらの成績を踏まえ, KS-R 1は急性化膿性中耳炎に対し経口剤に匹敵する効果を期待できるものと考え, 上記9施設において, 経口剤を対照としてWell-controlled method (封筒法) による比較試験を実施したので, その成績を報告する。