The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
小児科領域におけるcefpiramideの基礎的, 臨床的検討
豊永 義清黒須 義宇杉田 守正川村 悟朗井田 博幸望月 弘堀 誠
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 36 巻 8 号 p. 2207-2227

詳細
抄録

近年, 特にβ-Lactam剤の研究開発の成果は目をみはるものであり, 多くの有用なPenicillin, Cephalosporin系薬剤が開発されている。この理由は, β-Lactam剤がヒトには存在しない細菌細胞特有の構造である細胞壁の合成を阻害し, そのためβ-Lactam剤は選択毒性が非常に高く, アレルギーを除けば副作用に対する心配がほとんどないことによると思われる。Cephalosporin系薬剤 (CEPs) では, 7-Aminocephalosporanic acid (7-ACA) の3位あるいは7位の側鎖を新しいものに置換することにより, 抗菌スペクトルの拡大, β-Lactamaseに対する安定性を持つことが判明し, 藤井の分類1) による第4, 第5群のCEPsが多く開発され, そのうちのいくつかが現在では臨床的に使用されている。Cefpiramide (CPM) は第5群のCEPsの1つで, 住友化学工業 (株) と山之内製薬 (株) とで共同開発したものであり, 3位側鎖にTetrazole環を持ち, 7位側鎖にはHydroxymethylpyridine基を持ち, その化学名は, Sodium (6R, 7R)-7 {(R)-2-(4-hydroxy-6-methyl-3-pyridylcarboxamido)-2-(p-hydroxyphenyl) aCetamido]-3-{[(1-methyl-1H-tetrazol-5-yl) thio] methyl}-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo [4.2.0] oct-2-ene-2-carboxylateである。本剤はグラム陽性及び陰性菌に広く優れた抗菌力を示し, 特にPseudomonas属には, 他の第5群のCEPsよりも優れた抗菌力を持つていると言われる2, 3)。又, 本剤をヒトに静脈内投与した場合の血中濃度は既存のCEPsのどれよりも高く, 生物学的半減期は4~5時間と長く, しかも連続的投与による蓄積性も認められない特徴を有している。
そして, 尿中排泄は20~30%と低く, 胆汁排泄型の薬剤であると言われている4~6)。
今回, 我々はCPMを使用する機会を得たので, 本剤について, 抗菌力, 吸収, 排泄などの基礎的検討を行うと共に, 各種細菌感染症に使用したのでそれらの成績について報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top