1983 年 36 巻 9 号 p. 2312-2321
新生児, 未熟児は種々の要因により, 重篤な感染症をおこすことがあり, 抗生物質を投与する機会も少なくない。又, その原因菌も多種多彩であるため, 治療には強力な抗菌力を持ち, 広域な抗菌スペクトラムを持つ安全な抗生物質が必要とされる状況下にある。Latamoxef (LMOX) は, 1976年塩野義研究所において開発された注射用抗生物質で, Oxacephem系に属し, 従来のセファロスポリン系に比べ更に優れた抗菌力を有し, 緑膿菌や嫌気性菌に対しても有効であり, β-Lactamaseに極めて安定であるとされている。以前私共は, 乳幼児を対象にLMOXに関して検討を行い報告したが1), 新生児期は肝腎機能の未熟性をはじめ, 数々の因子が薬剤のPharmacokineticsに影響を与えるため, 乳幼児とは別個に検討する必要がある2)。今回私共は, 主に新生児, 未熟児を対象にLMOXに関して基礎的, 臨床的検討を行つたのでここに報告する。