The Japanese Journal of Antibiotics
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Lincomycinの肝・胆道への移行に関する検討
石川 貴久北島 政樹立川 勲相馬 智出口 浩一深山 成美西村 由紀子西家 綾子
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1984 年 37 巻 10 号 p. 1766-1772

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抄録

肝・胆道感染症に対する抗生物質の選択は, 胆汁を含む感染病巣の細菌に対する抗菌性が良行なことの他に, 胆汁への移行濃度が高いことを1つの条件にすべきとされている1)。一方, 胆道感染を疑う場合には, 胆汁内の細菌が検索されるが, 胆汁から検出される細菌はKlebsiella pneumoniae, Escherichia coliなどの好気性のグラム陰性桿菌の他に, 近年, Bacteroides fragilisなどの嫌気性菌が高率に検出されると言う報告2, 3) に注目し, 嫌気性菌に安定した抗菌力を有するLincomycin (以下LCMと略) の総胆管胆汁, 胆のう内胆汁, 胆のう組織, そして肝実質組織への移行に関する検討を行つた。
LCM 1.5gを1.5~2時間点滴静注によつて投与した時, 総胆管胆汁, 胆のう内胆汁, 胆のう組織, 肝実質組織共に良行な移行濃度を示し, これらは, 1980年に私たちが検討した臨床分離株のB. fragilisを含む, 主要な嫌気性菌のMIC904)を越えるものであった。以下に, 今回の成績を報告する。

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