The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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37 巻, 10 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
  • 児玉 芳重, 坂田 勝朗, 藤原 正利, 木次 敏明
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1757-1762
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 抗生物質の予防的投与が普及し, 整形外科的領域では, 脊椎及び脊髄の感染症に遭遇する機会は少なくなつた。しかし, 脊椎及び脊髄に感染が成立すると, その治療は困難であり, 後遺障害なく治癒させることは稀である。その治療面では, 抗生物質の髄液移行を知ることは有用であると考えられる。過去の報告においては, すでに感染が成立した状態での髄液移行に関しては多くの報告があるが, 感染の存在しない生理的状態, すなわち血液-髄液関門の透過性が破壊されていない状態での抗生物質の移行状態の報告は散見されるだけである。
    今回我々は武田薬品中央研究所の協力を得て, Cefotiam (以下CTM) の髄液中濃度を測定し, 感染予防に有効であること, 又, 多少の知見を得たので報告する。
  • 宮崎 信義, 加治木 章, 山崎 裕, 原田 進, 城戸 優光, 黒岩 昭夫
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1763-1765
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    感染症治療の成否を決定する要因の1つとして, 薬剤の抗菌力と感染局所での薬剤濃度が挙げられよう。呼吸器感染症についても, 喀痰中濃度や胸水中濃度について研究が進められ, 感染巣での起炎菌, 抗菌剤, 宿主側条件の関連性について, 具体的な検討がなされている。
    Cefmenoxime (CMX) は, 武田薬品中央研究所で合成された, 第3世代のセフェム系抗生物質であり, グラム陽性菌, グラム陰性菌にわたり優れた抗菌力を有し, 又, 嫌気性菌やセラチア属等のいわゆる弱毒菌にも有効であることが知られている。これらのCMXの特徴から, 胸膜炎, 膿胸, 肺化膿症や基礎疾患を有する呼吸器感染症にも有用な薬剤と考えられる。
    著者らは, これらの観点から, CMXの胸水中移行を知ることが, 胸膜腔における感染症にとつて有用と考え, CMX点滴静注による胸水中濃度を経時的に測定した。
  • 石川 貴久, 北島 政樹, 立川 勲, 相馬 智, 出口 浩一, 深山 成美, 西村 由紀子, 西家 綾子
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1766-1772
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    肝・胆道感染症に対する抗生物質の選択は, 胆汁を含む感染病巣の細菌に対する抗菌性が良行なことの他に, 胆汁への移行濃度が高いことを1つの条件にすべきとされている1)。一方, 胆道感染を疑う場合には, 胆汁内の細菌が検索されるが, 胆汁から検出される細菌はKlebsiella pneumoniae, Escherichia coliなどの好気性のグラム陰性桿菌の他に, 近年, Bacteroides fragilisなどの嫌気性菌が高率に検出されると言う報告2, 3) に注目し, 嫌気性菌に安定した抗菌力を有するLincomycin (以下LCMと略) の総胆管胆汁, 胆のう内胆汁, 胆のう組織, そして肝実質組織への移行に関する検討を行つた。
    LCM 1.5gを1.5~2時間点滴静注によつて投与した時, 総胆管胆汁, 胆のう内胆汁, 胆のう組織, 肝実質組織共に良行な移行濃度を示し, これらは, 1980年に私たちが検討した臨床分離株のB. fragilisを含む, 主要な嫌気性菌のMIC904)を越えるものであった。以下に, 今回の成績を報告する。
  • 岡崎 武二郎
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1773-1779
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Azthreonam (E-0734) は, 米国スクイブ社で開発されたMonobactam (単環β-Lactam) 系抗生物質で, グラム陰性菌に対して抗菌力があり, β-Lactamaseに非常に安定で, 高い安全性を有する新しい抗生物質である1)。
    今回, Azthreonamを男子淋菌性尿道炎に使用し, その臨床効果及び淋菌に対する抗菌力について検討したので報告する。
  • 特に落下細菌と検査術後抗生剤使用に関する検討
    久野 保夫, 浅野 純一, 升野 光雄, 中村 浩, 坂井 敦子, 林 昭恵, 李 憲, 平泉 泰久, 多賀 俊明, 兼村 敏生, 桑田 弘 ...
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1780-1784
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児心疾患患者に対して施行される心臓カテーテル検査は, 手術室と比較すると外来性汚染が強いと考えられる連続撮影室で行われることや, カテーテルなどの器具を血管内に挿入することなどで, 検査術後の感染予防には十分の注意が必要である。そのためには, 検査器具消毒, 検者の手洗い, 加刀前の皮膚消毒を十分にすることはもちろん, 連続撮影室内の空気汚染も配慮した上で, 更に検査術後感染予防に抗生物質投与が必要である。小児心疾患患者に施行される心臓カテーテル検査での検査術後感染予防対策の一環として, 今回は特に, 連続撮影室における落下細菌の検討と, それら汚染の可能性がある細菌に対する術後感染予防抗生剤として合成ペニシリンのTicarcillin (TIPC) を使用し, その効果, 副作用を検討したので報告する。
  • 青山 隆蔵, 和賀 忍, 大西 彬, 泉 幸雄, 飛鳥 徳久
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1785-1787
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoperazone (CPZ) は広範囲の抗菌スペクトラムをもつCephalosporin系抗生物質であり, β-Lactamaseに安定であるが, 若干PCaseで分解される。一方, Sulbactam (SBT) は, それ自身での抗菌力は弱いがPCase型β-Lactamaseを強く不活化する。従つて両剤を配合することによりCPZの欠点を補い, 更に広域の抗生剤として期待できると考えられる1)。
    今回我々は本配合剤を小児感染症に使用する機会を得たので,臨床成績について報告する。
  • 本庄 高司, 渡辺 章
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1788-1792
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    SulbactamとCefoperazoneの合剤(SBT/CPZ)は, Penicillinase型β-Lactamase inhibitorの特性をそなえ持ち, CPZの抗菌力増強が期待される薬剤である1)。β-Lactam系のCPZはCephalosporinaseでは加水分解を受け難いが, Penicillinaseにより分解される2)ので, 本合剤が耐性菌対策の1つとして注目されている。
    今回, 本薬剤を小児科領域の各種感染症に使用し, 臨床効果と安全性及び髄液中の濃度について検討したので報告する。
  • 中村 明, 氷見 京子, 松村 千恵子, 鈴木 宏, 黒崎 知道, 菅谷 直子, 寺嶋 周, 上原 すゞ子
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1793-1800
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam/Cefoperazone合剤 (SBT/CPZ) は, CPZがPCaseに弱いと言う唯一の欠点を補う目的でβ-Lactamase阻害剤であるSBTを1:1の割合で配合した注射用抗生剤である1)。
    今回, 我々はβ-Lactamase産生のHaemophilus influenzae及びCPZ耐性のEscherichia coli感染症を含む小児の細菌性感染症に対してSBT/CPZを試用する機会を得, 優れた臨床成績を得たので報告する。
  • 南谷 幹夫, 八森 啓, 金田 一孝
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1801-1811
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    細菌感染症の治療に, 最も広く使用され, 効果が期待されている薬剤はPenicillin, CePhalosporinなどのβ-Lactam系抗生剤であるが, 最近, 耐性菌が次第に増加してきたため, その利用価値に危惧が生じてきた。一方において, 耐性機構の仕組の研究が進められ, 臨床分離株の耐性はβ-Lactamaseによる薬剤の加水分解が主作用であることが明らかにされた。耐性菌対策には加水分解されにくい新誘導体の開発, あるいはβ-Lactamase阻害剤と既存抗生物質との併用が採り上げられている1)。
    Sodium sulbactam (SBT) 2, 3) は1977年,米国Pfizer社Groton中央研究所で開発されたβ-Lactamase阻害剤で, 化学名はSodium (2S, 5R)-3, 3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo〔3.2.0〕heptane-2-carboxylate 4, 4-dioxideであり, Fig.1のような構造式, 分子量を有するPenicillanic acid sulfoneである。SBTの抗菌力は, ごく少数の菌種を除いて一般的に弱く, SBT単独では抗菌剤としての有用性は少ない。本剤の特性としては各種細菌が産生するPenicillinase型β-Lactamaseに対して強力に, そしてCephaklosporinase型β-Lactamaseには中等度に働く不可逆的不活化作用をあげることができる。この特性からSBTと種々のβ-Lactam剤との配合はβ-Lactamaseによる配合された抗生剤の抗菌作用失活を防ぎ, 抗菌力の増強が期待できる4~7)。
    すでに本剤の安定性, 安全性, ヒトに対する吸収排泄などは検討されており, 又, 本剤に配合するβ-Lactam剤としてCefoperazone (CPZ) が選択され, その配合比1対1の有用性が高いことが知られた。Sulbactam/Cefoperazone (SBTICPZ) 配合剤の臨床的有用性が示唆されたところから, 1980年11月から成人領域における感染症に対する治験がすすめられ, 第30回日本化学療法学会総会,新薬シンポジウム8)で, 副作用も極めて少なく有効性が認められた。
    今回, われわれはSBT/CPZ配合剤を小児科領域感染症に使用する機会を得たので, その臨床効果並びに副作用を検討した。
  • 保科 弘毅, 広澤 浩, 三国 健一, 市橋 治雄
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1812-1820
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam/CefbperazoneはSodium sulbactam (SBT) とSodium cefoPerazone (CPZ) の1:1 (力価) 配合の凍結乾燥製剤である。SBT1)は米国P位er社で開発されたβ-Lactamase inhibitorで単独では抗菌剤としての有用性は少ないが, 各種の細菌が産生するペニシリナーゼ型β-Lactamaseを強く, セファロスポリナーゼ型β-Lactamaseを中等度に不可逆的に不活化する。SBT/CPZはSBTのこの特性を生かし, CPZと1:1で配合することによりβ-Lactamaseによる失活を防ぎ, CPZの抗菌力を増強することを期待されて開発された薬剤である。
    今回我々は易感染傾向を基礎疾患として持つ12例を含め, 18例の中等症以上の小児感染症に対しSBT/CPZを臨床使用する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 目黒 英典, 田島 剛, 野中 千鶴, 益子 仁, 藤井 良知, 有益 修
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1821-1830
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) はすでにわが国で使用されているCPZに, 新しいβ-Lactamase阻害剤であるSBTを1:1に配合した注射用抗生物質である。それぞれの化学名, 化学構造式はFig.1のとおりで, 分子量はSBTが255.22, CPZが667.65である。CPZはCefotaxime (CTX), Ceftizoxime (CZX), Cefmenoxime (CMX), Ceftazidime (CAZ) 及びCeftriaxone (CTRX) と共に抗菌範囲の広い第5群のCephem系に分類される1)。しかし他剤に比べてIc型及びIII型のβ-Lactamaseによりわずかに分解されやすい点が少し劣つている。SBTの配合はその点を補い, それによる耐性菌を感性化するだけでなく, 更にある程度抗菌範囲を広げた薬剤となる。SBT/CPZの成人領域における臨床試験はすでに終了し, その安全性・有効性が報告されている2)。我々は小児科領域におけるSBT/CPZの共同研究会の一員として, 本剤の臨床検討を行う機会を得たのでその結果を報告する。
  • 岩田 敏, 佐藤 吉壮, 岩崎 由紀夫, 早野 紳哉, 若林 良, 小島 好文, 秋田 博伸, 砂川 慶介, 老川 忠雄, 小佐野 満
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1831-1845
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam/Cefoperazone(SBT/CPZ)は, β-Lactamase inhibitorであるSBTとCephem系抗生剤であるCPZを1:1の割合で配合した注射用抗生剤で, Penicillinase型β-Lactamaseによる耐性菌にも有効なことから, CPZより更に広範囲の抗菌スペクトラムを持つと言われている1)。今回われわれは, 小児科領域における本剤の抗菌力, 血中濃度, 尿中排泄などの基礎的検討, 及び臨床的検討を行う機会を得たので, その結果を報告する。
  • 中島 崇博, 上田 佐智恵, 早川 文雄, 宮地 幸紀, 袴田 享, 久野 邦義
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1846-1858
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam/Cefoperazoneは1977年, 米国Pfizer社で開発されたβ-Lactamase阻害剤であるSulbactam(SBT)とCofoperazorle(CPZ)との1対1の配合剤である。
    SBTはFig.1の化学構造を有し, これ自体でNeisseria gonorrhoaeとAcinetobacter calcoceticus以外の菌種に対する抗菌力は弱いが, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseを不可逆的に不活化する1~4)。一方, CPZはFig.2の構造を有し, グラム陽性菌並びにグラム陰性菌に対し広域な抗菌スペクトラムを有するCephem系抗生物質である5)。このSBTとCPZとを併用した場合, β-LactamaseによるCPZの失活が防がれ, 耐性菌に対しCPZ単独使用時以上に抗菌力が増強されると言われる6)。今回, われわれは本合剤を小児科領域の細菌感染症に使用する機会を得たので, その臨床成績及び副作用などについて報告する。
  • 岩井 直一, 種田 陽一, 柴田 元博, 溝口 文子, 片山 道弘
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1859-1879
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam/Cefoperazone(SBT/CPZ)は, 米国Pfizer社で開発されたβ-Lactamase inhibitorであるSodium sulbactarn(SBT)とすでに市販されているCefoperazone(CPZ)との1:1の配合剤である1)。
    SBTは, 単独では抗菌剤としての有用性に乏しいが, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseを非可逆的に不活化することから, 種々のβ-Lactam剤と配合する場合にはβ-Lactamaseによる失活を防ぎ, 配合された抗生剤の抗菌力を増強する特性を有している1)。又, SBTは安全性の高い物質であり, 静脈内投与によつて高い血清中濃度が得られ, ほとんど代謝を受けずに尿中に排泄される1)。
    SBT/CPZは, Penicillinase型β-LactamaseによるCPZの失活が上述したSBTの特性によつて防がれると共に, 作用点での協力作用が得られることから, CPZ単独より広範囲な抗菌スペクトラムを有し, しかもβ-Lactamase産生菌には一段と優れた抗菌力を示す点が特長である1)。更に, このような併用効果は, 両剤のPharma-cokinetics並びにSBTの作用に残存効果が認められることから, 長時間持続すると言われている1)。
    今回, 我々は小児科領域におけるSBT/CPZの有用性と安全性についての検討を行つたので, その成績を報告する。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 高島 俊夫, 高木 道生
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1880-1892
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年のβ-Lactam系抗生剤の開発・進歩は著しく, かつ細菌感染症治療に大きく貢献している. しかし, これらの新抗生剤の使用頻度の上昇と共に, 耐性菌の増加傾向もみられ, 臨床上重要な問題となっている。さて, β-Lactam系抗生剤に対する耐性機構としては, 1) β-Lactamaseの産生, 2) 外膜透過性の変化, 3) 薬剤の作用点であるMurein transpeptidaseの変化が考えられているが, なかでもβ-Lactamase産生による耐性が大半を占めるとされている1)。そこで, これら耐性菌に対する対策として, まずβ-Lactamaseに安定な抗生剤の開発が進められ, 更にはβ-Lactamase阻害剤を既存β-Lactam系抗生剤と併用して対処しようとすることが考えられるようになった2)。
    さて, Sulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) は後者の考えにそって開発された新しいタイプの抗生剤で, β-Lactamasoに対し強い不可逆的阻害作用を持つSulbactam 3) とグラム陽性菌及びPseudomonas aeruginosa, Enterobacterを含むグラム陰性菌まで抗菌スベクトルを持つCefoperazone 4) とを配合したものである。
    すでに, 本邦ではSBT/CPZに関する基礎的及び成人領域における臨床検討が行われ, 第30回日本化学療法学会総会5) において, 本剤の評価が行われた。
    今回, 著者らは, そこで得られた本剤の有効性と安全性の成績に基づいて, 小児におけるSBT/CPZの基礎的及び臨床的検討を行ったので, その成績について述べる。
  • 春田 恒和, 大倉 完悦, 黒木 茂一, 小林 裕
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1893-1897
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam (SBT)は, 米国Pfizer社Groton中央研究所で開発されたβ-Lactamase阻害剤, Penicillanic acid sulfoneで, それ自身の抗菌力にみるべきものは少ないが, Penicillinase型β-Lactamaseを強く, Cephalosporinase型を中等度に, 不可逆的に不活化する1)。一方Cefoperazone (CPZ) は極めて広範囲の抗菌スペクトラムを有するが, β-Lactamaseの一部に対しては不安定2) なので, この欠点を補うために両剤の1対1の配合剤が作られ, 1980年11月からの全国規模の研究会による基礎的, 臨床的研究成績が, 1982年6月の第30回日本化学療法学会総会において, 新薬シンポジウムとして討議され, 成人における有効性, 安全性が認められた1)。われわれも各種臨床分離株について本剤の抗菌力を検討し, CPZ耐性株には併用効果を示すことを認め, 報告した3)。
    以上の成績から, 本剤は小児においても検討の価値ありと考えられ, 幼若動物における安全性も証明されたので, 小児科領域研究会を組織し, 基礎的, 臨床的検討を行った. 今回はその一員として得た若干の成績を報告する。
  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 藤本 保, 西山 亨, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文雄 ...
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1898-1918
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoperazone (CPZ) はCephem系薬剤の第3世代あるいは第5群に属する注射剤で, グラム陽怪菌及びグラム陰性菌に対し広域抗菌スペクトルを有し, その特徴はPseudomonas aeruginosaに対してもCefsulodinに近い抗菌力があり, Cephalosporinase (CEPase)型β-Lactamaseに安定であるが, Penicillinase (PCase)型β-Lactamaseに若干加水分解され1), 主に肝胆道系から排泄されることである。
    そこでCPZの欠点であるPCase型β-Lactamaseによる耐性菌に対しても本剤を有効にする目的で, PCase型β-Lactamaseに対し不可逆的不活化作用の強いβ-Lactamase inhibitorすなわちFig. 1のような構造をもったSulbactam (SBT) 2) と等量での配合が選択され, 1982年の第30回日本化学療法学会総会における新薬シンポジウムで, 基礎的検討及び成人での臨床評価が発表3) された。
    そこで私たちは小児に対しても本剤すなわちSBT/CPZの有用性を論ずる目的で, 小児に投与し, その血清中濃度, 尿中濃度, 尿中回収率, 髄液中濃度の測定を行うと共に, 種々の細菌感染症に本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果及び副作用について検討したのでその成績を報告する。
  • 齋藤 良治, 立崎 達夫, 真木 正博
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1919-1924
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近感染症治療においてβ-Lactam系薬剤に対する耐性菌の出現が問題視されている。この問題を解決する一方法としてβ-Lactamase阻害剤, Sulbactam(SBT)とCefoperazone(CPZ)の合剤が考案され注目されている。私達は産婦人科領域感染症に対し, この合剤SBT/CPZを使用し, その臨床的並びに細菌学的効果を確認したので報告する。
  • 土門 洋哉, 児玉 百樹, 佐藤 博, 清水 哲也, 鷲塚 紀夫, 衛藤 真理
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1925-1927
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephem系抗生物質の第3世代の1つであるCefoperazone(CPZ)より, 更に広範囲の抗菌Spectrumを持たせる目的で, β-Lactamase阻害剤Sulbactam(SBT)とCPZとを1:1の比率で配合されたSBT/CPZを産婦人科感染症に使用する機会を得たので, ここに報告する。
    なお, 本治験はスルバクタム産婦人科研究会(世話人: 昭和大学産婦人科張南薫先生)の一環としてなされたものである。
  • 千村 哲朗, 井上 公俊, 森崎 伸之
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1928-1933
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam(SBT)とCefoperazone(CPZ)との配合剤(SBT/CPZ)はCPZの優れた抗菌スペクトラム, 抗菌力及び安全性を低下させることなく, β-Lactamaseに対する抵抗性を強化した薬剤で, 優れた臨床効果が期待されている。我々は産婦人科感染症に対してSBT/CPZを使用して臨床的検討を行つたので報告する。
  • 小原 達也, 松井 幸雄, 野田 正和, 平井 慣一, 飯田 晋也
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1934-1938
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam(SBT)は1977年Pfizer社のW. E. BARTHらによつて開発されたβ-Lactamaseに対する不可逆的阻害作用を有する薬剤で, これに従来のβ-Lactam剤を配合することにより, β-LactamaSeによる失活を防ぎ, 抗生剤の抗菌力を増強することができる1, 2).
    今回, 我々はSBTと適した配合剤であるCefbperazone(CPZ)との混合剤であるSBT/CPZを産婦人科領域における感染症6例に投与し, 臨床的検討を行つたので, その結果を報告する。
  • 張 南薫, 渡辺 博子, 吉田 清, 森山 修一, 武田 仁, 塚本 彰通, 福永 完吾, 國井 勝昭
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1939-1955
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sodium sulbactamは1977年Pfizer社Groton中央研究所で開発されたβ-Lactamase inhibitorで, Penicillanic acid sulfoneである1)。本物質はそれ自身の抗菌力は弱いが, β-Lactamaseに対し強い不可逆的阻害作用を有し, 安定性が高く, 毒性が低いので, β-Lactam剤と併用すると, β-Lactamaseによる活性低下を防ぎ, 配合された抗生剤は耐性菌に対しても抗菌力を発揮させることができる3-5)。Sulbactam(SBT)は安全性も高く, 前述の理由から, Penicillinase型β-Lactamaseに若干分解されると言うCefoperazone(CPZ)の欠点を補うことができる他, 血中での推移がCPZと近似しているので生体内での協力作用を期待できるなどの理由からCPZとの配合が選択され, 両者の1: 1の配合剤SBT/CPZが開発された1)。本剤については1980年11月から全国規模の研究会が組織されて共同研究が行われ, その成果が1982年6月, 日本化学療法学会総会新薬シンポジウムにおいて報告された2)。われわれもこの研究会に参加して, 産婦人科領域で基礎的, 臨床的研究を行い, その成績を報告した9)。
    本報告は, その後産婦人科領域で行つた基礎的, 臨床的検討成績で, ここに結果を得たので報告する。
  • 中村 英世, 岩田 嘉行, 林 茂
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1956-1963
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sulbactam/CefoperazoneはPfizer社で研究開発されたSulbactam(SBT)とCefbperazone(CPZ)の合剤であり, 新抗生剤としてその臨床効果が期待されている。
    今回, 子宮及び付属器組織内濃度, そして骨盤死腔液中濃度を測定し, 本剤の組織移行性を検討し, 合せて臨床にも応用し, いささかの知見を得たので報告する。
  • 舘野 政也, 舌野 徹
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1964-1972
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科骨盤内感染症に関しては部位的な関係から起炎菌の証明が困難な場合があり, 抗菌性のある抗生物質を選択的に使用することは仲々困難で, 従つてこれら感染症に対しては抗菌スペクトラムの広い抗生物質の使用を余儀なくさせられる。今回, 我々はCefoperazoneにAnti β-lactamase製剤であるSulbactamを加えた合剤であるSulbactam/cefoperazoneを台糖ファイザーK. K. から提供を受け, 産婦人科領域における主として骨盤内感染症に使用する機会を得たので少数例ではあるがその臨床成績について検討を加えてみたいと思う。
    使用薬剤については使用した薬剤のなかでSulbactam (以下SBTと略) はβ-Lactamase産生菌に対してその作用を不可逆的に阻止するためにβ-Lactam環を有するCefoperazone (以下CPZと略) と併用することにより, CPZの抗菌スペクトラム, 抗菌力に加えてβ-Lactamaseへの抵抗性が強化されている。本剤の特徴をまとめると表1のとおりである。
    従つて産婦人科感染症に用いる薬剤としては合目的な薬剤と言える。すなわちSBTはほぼ中性で比較的安定している。CPZにPenicillanic acid sulfoneであるAnti-β-lactamase作用のあるSBTが加わり強い抗菌力を発揮するようになるとされている。従つて, SBTはCPZの優れた抗菌スペクトラム, 抗菌力, 安全性を低下させることなくβ-Lactamaseに対する抵抗性を強化した薬剤であり, 起炎菌不明例の多い産婦人科感染症に対してより優れた効果が期待できるものと考えられる。
    SBT, CPZの化学構造式は図1のとおりで分子量はそれぞれ255.22及び667.65である1)。
  • 矢吹 朗彦, 朝本 明弘, 干場 勉
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1973-1976
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    第3世代Cephem系抗生剤の特長の1つは, β-Lactamaseに対する安定性である。しかし, 現在のCephem系抗生剤の使用状況から判断すれば, 耐性菌の出現は時間の問題であるとも言える。こうした状況下における解決策の1つとしてβ-Lactamase阻害剤と既存の抗生剤との併用が注目される。今回β-Lactamase阻害剤であるSulbactam (SBT) と第3世代Cephem剤Cefoperazone (CPZ) との合剤 (SBT/CPZ) を治験する機会に恵まれたので, 当院における成綾の概要を記述する。SBTはFig. 1のような構造式を有し, 安定且つ急性毒性も最近のβ-Lactam薬剤に比較し得る程度に低いと言われるβ-Lactamase阻害剤である。CPZは, 富山化学工業綜合研究所で開発され, PiperacillinのDioxopiperazinyl基を有するため (Fig. 2), 更に広い抗菌スペクトラムと増強された抗菌力を有する第3世代のCephem剤である。この2剤の組み合せによる新しい配合剤には大きな利用価値が期待されるところである。
  • 福田 宰, 下川 研一, 井上 悟, 前山 昌男
    1984 年 37 巻 10 号 p. 1977-1982
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sodium sulbactam (SBT) は1977年米国Pfizer社Groton中央研究所で開発されたβ-Lactamase inhibitorで, 下記構造式を有するPenicillanic acid sulfoneである (Fig. 1)。化学名はSodium 3, 3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo [3. 2. 0] heptane-2-carboxylic acid, 4, 4-dioxide [2S (2α, 5α)] で, 分子式はC8H10NO5SNa, 分子量は255.22である。本剤は, それ自身の抗菌力は弱いが, β-Lactamaseに対し, 強い不可逆的阻害作用を持ち, 安全性が高く, 毒性が低いので, 本剤をβ-Lactam剤と配合することが考えられた。今回, 配合剤として用いられたCefoperazone (CPZ) は, 化学名Sodium (6R, 7R)-7-[(R)-2-(4-ethyl-2, 3-dioxo-1-piperazinecarboxamido)-2-(p-hydroxyphenyl) acetamido-3-[[(1-methyl-1H-tetrazol-5-yl) thio] methyl]-8-oxo-5-thia-1-azabi-cyclo[4. 2. 0] oct-2-ene-2-carboxylate, 分子式C25H26N9NaO8S2, 分子量667.65であるβ-Lactam剤で, その構造式をFig. 2に示す。
    われわれは, 以上のSBTとCPZを1: 1に配合した注射用抗生物質を台糖ファイザー株式会社から提供を受け, 産婦人科領域感染症に使用する機会を得たので報告する。
  • 1984 年 37 巻 10 号 p. 1983-1993
    発行日: 1984/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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