1984 年 37 巻 10 号 p. 1780-1784
小児心疾患患者に対して施行される心臓カテーテル検査は, 手術室と比較すると外来性汚染が強いと考えられる連続撮影室で行われることや, カテーテルなどの器具を血管内に挿入することなどで, 検査術後の感染予防には十分の注意が必要である。そのためには, 検査器具消毒, 検者の手洗い, 加刀前の皮膚消毒を十分にすることはもちろん, 連続撮影室内の空気汚染も配慮した上で, 更に検査術後感染予防に抗生物質投与が必要である。小児心疾患患者に施行される心臓カテーテル検査での検査術後感染予防対策の一環として, 今回は特に, 連続撮影室における落下細菌の検討と, それら汚染の可能性がある細菌に対する術後感染予防抗生剤として合成ペニシリンのTicarcillin (TIPC) を使用し, その効果, 副作用を検討したので報告する。