The Japanese Journal of Antibiotics
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sulbactam/cefoperazoneの小児科領域における検討
岩井 直一種田 陽一柴田 元博溝口 文子片山 道弘
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1984 年 37 巻 10 号 p. 1859-1879

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抄録

Sulbactam/Cefoperazone(SBT/CPZ)は, 米国Pfizer社で開発されたβ-Lactamase inhibitorであるSodium sulbactarn(SBT)とすでに市販されているCefoperazone(CPZ)との1:1の配合剤である1)。
SBTは, 単独では抗菌剤としての有用性に乏しいが, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseを非可逆的に不活化することから, 種々のβ-Lactam剤と配合する場合にはβ-Lactamaseによる失活を防ぎ, 配合された抗生剤の抗菌力を増強する特性を有している1)。又, SBTは安全性の高い物質であり, 静脈内投与によつて高い血清中濃度が得られ, ほとんど代謝を受けずに尿中に排泄される1)。
SBT/CPZは, Penicillinase型β-LactamaseによるCPZの失活が上述したSBTの特性によつて防がれると共に, 作用点での協力作用が得られることから, CPZ単独より広範囲な抗菌スペクトラムを有し, しかもβ-Lactamase産生菌には一段と優れた抗菌力を示す点が特長である1)。更に, このような併用効果は, 両剤のPharma-cokinetics並びにSBTの作用に残存効果が認められることから, 長時間持続すると言われている1)。
今回, 我々は小児科領域におけるSBT/CPZの有用性と安全性についての検討を行つたので, その成績を報告する。

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