1984 年 37 巻 12 号 p. 2397-2405
Ceftriaxone (Ro 13-9904, CTRX) は最近開発されたCephalosporin系の抗生物質であり1), その構造式は, Fig.1に示すとおりである。
本剤は, 従来の第3世代のCephalosporin系抗生物質と同様に, 広範囲の抗菌スペクトラムを有する。その抗菌力は, グラム陽性菌に対してはやや弱いが, グラム陰性菌及び嫌気性菌に対しては, 優れた活性を示す。すなわち, Stapkococcus aureus, Staphylococcus epidermidisに対する抗菌力は弱い反面, Proteus morganii, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Pseudomonas aeruginosa, Haemophilus influenzae, Escherichia coli, Bacteroides fragilisなどに対しては, 従来のCephalosporin系抗生物質と同等以上の抗菌力を有する2, 3)。又, 各種グラム陰性菌の産生するβ-Lactamaseに対しても安定であり4), しかも, 他剤耐性のE.coliに対しても強い抗菌力を示す。
今回われわれは, 本剤の血中及び内性器の組織内濃度測定, 並びに婦人科領域における感染症の治験を行う機会を得たので, 若干の検討を加えて報告する。