1984 年 37 巻 2 号 p. 267-278
広域抗菌スペクトルを有するCephalosporin系抗生剤及びCephamycin系抗生剤が臨床的に汎用されるにつれ, 多剤耐性株が増加しつつある。そこで, これら耐性株に対し抗菌力の強い抗生剤を開発するという目的でCefotaxime (クラフォラン®, CTX) が, ドイッヘキスト社とフランスルセル社で共同開発された。CTXは, 従来のCephalosporin系抗生剤に比べβ-Lactamaseに対する安定性が高く, Cephalosporin系抗生剤には感受性のなかったIndole (+) Proteus, Serratia, Enierobacterなどにも優れた抗菌力を示し, 更にHaemophilusinfluenzae, Pseudomonas aeruginosaに対しても抗菌力を有し, その抗菌作用は殺菌的である1-3)。
今回, 我々は新鮮臨床分離株を用い, CTXに対する感受性傾向を他の第3世代の抗生剤と比較検討し, 若干の知見を得たので報告する。