The Japanese Journal of Antibiotics
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真菌による複雑性尿路感染症の治療
河田 幸道清水 保夫堀江 正宣徳山 宏基松田 聖士西浦 常雄
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1984 年 37 巻 3 号 p. 285-289

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抄録

広域且つ強力な抗菌薬の開発とその繁用に伴い, 菌交代症としての真菌感染症が注目されつつあるが, 尿路感染症の治療に際しても全く同様で, いわゆる第3世代のセフェム剤を用いて複雑性尿路感染症を治療した場合, 投与後出現細菌としての真菌の頻度が高いことについては, すでに指摘したところである1)。
このような真菌の尿路に対する病原性は必ずしも明確であるとは言えず, 従つて今後, 尿路に対する真菌の病原的意義について検討されねばならないが, 同時に治療法の確立も又重要な課題である。
本邦において現在, 全身投与が可能な抗真菌剤としては, Flucytosine, Nystatin, Amphotericin B, Griseofulvinがあるが, 薬効及び副作用の両面を満足できる薬剤はすくなく, 真菌性尿路感染症に有効且つ耐容性の高い薬剤の開発が望まれる。
我々は今回, 真菌による尿路感染症の発生要因について検討すると共に, 新しい経口抗真菌剤, Ketoconazoleを真菌性尿路感染症の治療に用い, 若干の知見を得たので報告する。

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