The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCeftazidimeの基礎的, 臨床的検討
豊永 義清黒須 義宇杉田 守正川村 悟朗松永 光平川人 尚子望月 弘井田 博幸中村 弘典河村 研一瀬尾 究高橋 孝行堀 誠
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1984 年 37 巻 3 号 p. 423-459

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抄録

現在使用されているCephalosporinC系薬剤 (CEPs) はグラム陽性球菌並びにグラム陰性桿菌に強い抗菌力を示し, その作用は殺菌的で毒性も比較的低いため, 小児科領域での細菌感染症に広く使用されている。一方CEPsの頻用に従い, Cephalosporinase産生株に伴う耐性菌も増加傾向にあり1), 又, 宿主の感染抵抗性低下に乗じて定着し, 起病性を発揮するようになつた弱毒菌の出現も事実である。こうした背景から, より強力な殺菌効果, 抗菌域の拡大, β-Lactamaseに安定な薬剤の開発が求められ, いわゆる藤井2)の分類による第4, 第5群の新しいCEPsが多数開発され, すでにその一部は日常の臨床使用の段階に至つている2, 3)。
Ceftazidime (CAZ) は, 第5群のCEPsの1つで, 英国Glaxo社において開発されたものであり, 3位側鎖にPyridineを有し, 7位側鎖にAminothiazolylcarboxypropyloxyimino基を持ち, その化学名は (6R, 7R)-7-[(Z)-2-(2-Aminothiazol-4-yl)-2-(2-carboxyprop-2-yloxyimino) acetamido]-3-(pyridinium-1-ylmethyl) ceph-3-em-4-carboxylate pentahydrateである。本剤はグラム陽性及び陰性菌に広く優れた抗菌力を示すが, グラム陽性菌よりも陰性菌に対する抗菌力の方が優れていると報告4, 5, 6)されており, 特にPseudomonas属には, 他の第5群のCEPs及びAminoglycoside系薬剤よりも優れた抗菌力を示していると言われる。しかも, 各種β-Lactamaseに対しても極めて安定であり, 既存のCEPsに対する耐性菌に強い抗菌力を示すことが知られている。
今回, 我々はCAZを試用する機会を得たので, 本剤について, 抗菌力, 吸収・排泄などの基礎的検討を行うと共に, 各種細菌感染症に使用したのでそれらの成績について報告する。

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