The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCeftazidimeの基礎的, 臨床的検討
岩井 直一佐々木 明種田 陽一柴田 元博溝口 文子中村 はるひ
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1984 年 37 巻 3 号 p. 490-511

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抄録

Ceftazidime (CAZ) は, 英国グラクソ社で開発された新しいCephalosporin系の注射用抗生物質である。本剤は, 化学構造上7位の側鎖にAminothiazolylcarboxypropyloxyimino基を, 3位の側鎖にPyridineを有し, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して極めて安定である1~3)。又, 抗菌力面では, グラム陽性菌並びに陰性菌に幅広い抗菌スペクトラムを有しており, 特にグラム陰性菌に対しては優れた抗菌力を示し, Pseudomonas aeruginosa,, ブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌, Serratia marcescens等にも優れているのが特徴である1~11)。一方, 吸収, 排泄の面では, 静脈内投与により高い血中濃度が得られ, 体内で代謝を受けることなく大部分が尿中に排泄されると言われている1, 12, 13)。
第30回日本化学療法学会総会新薬シンポジウムIで報告された成人での臨床成績1)は, 本剤の臨床面での有用性と安全性を示唆したものと考えられる。又, その後なされた幼若動物を対象とした種々の検討においても, 特に問題となるような結果は得られていない。
今回, 我々は, 本剤の有用性と安全性を小児科領域において検討する機会を得たので, その成績について報告する。

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