1984 年 37 巻 5 号 p. 829-834
慢性気道感染症は, 一般に慢性呼吸器感染症と呼ばれ, 気管支, 細気管支に炎症を生じ, 慢性に経過する細菌感染症で, 肺の生理学的面からは閉塞性呼吸器疾患と呼ばれ, 慢性の細菌感染を呈する。
症状としては, 発熱 (生じないこともある), 咳, 膿性痰を主症状とし, 呼吸困難,チアノーゼなどの症状を伴うこともある。
この疾患に含まれるものは, 慢性気管支炎, 肺気腫, びまん性汎細気管支炎, 気管支拡張症が主なもので, 病型としては, 急性増悪型と慢性感染型がある。
起炎菌は, 松本1~4)によればインフルエンザ菌が第1義の菌であり, 次いで肺炎球菌, 緑膿菌となつており, これらの菌に対する化学療法が重要となつてくる。
インフルエンザ菌, 肺炎球菌に対する化学療法としては, Penicillin系抗生剤が第1選択剤となる。又, 緑膿菌に対しては, 抗緑膿菌用Penicillin, Aminoglycoside系抗生物質, アミノ配糖体の単独あるいは併用が主体となる。
今回我々は, 慢性気道感染症に対し, Penicillin系抗生剤であるCarbenicillin (CBPC) を投与し, これらの成績について検討した。