The Japanese Journal of Antibiotics
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小児におけるSisomicin投与時の薬動力学的検討
西村 忠史岩井 直一本廣 孝
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1984 年 37 巻 5 号 p. 835-846

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抄録

近年, 各科領域でグラム陰性桿菌感染症の増加が指摘されている。小児科領域も例外ではなく, 特に種々の基礎疾患を有するものに発症することが多く, 治療上極めて難治性である特徴を持つている。一方, 新しい抗生剤の開発を始めとして種々の角度から治療の努力がなされており, 特に, β-Lactamaseに安定なCePhem系抗生剤の開発には目をみはるものがある。すでに幾種のものがそれぞれの特徴を生かして臨床的に使用されているが, 一部のグラム陰性桿菌に対しては, 抗菌力の点で若干不安な面が残されている。従つて, 新しいCephem系抗生剤が登場した現在でも, アミノ配糖体系抗生剤が使用される頻度は, 思つたほどには低くなつていない。
一般に, アミノ配糖体系抗生剤では有効血中濃度と中毒濃度が接近しており, 投与する際には, 投与量, 投与回数等に慎重な配慮が必要である。すなわち, 投与量が少ないと効果は得られず, 逆に多いと, 腎毒性や聴器毒性などの副作用をおこす危険性がある。従つて, 投与中は血中濃度のMonitoringを行うのが最も望ましいとされているが, 日常診療では困難な場合が多い。従つて, 従来から血中濃度について薬動力学的解析を行い, それに基づいて適正な投与法を検討することがなされてきた1, 2)。
今回, 我々は, 小児においてSisomicin (SISO) 筋注時の血中濃度及び尿中濃度を測定し, 薬動力学的解析を行い, 適正な投与法について検討したので報告する。

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