1984 年 37 巻 8 号 p. 1470-1487
MT-141; Sodium (6R, 7S)-7-[(2S)-2-amino-2-carboxyethylthioacetamido]-7-methoxy-3-[[(1-methyl-1H-tetrazol-5-yl) thio] methyl]-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo-[4.2.0] oct-2-ene-2-carboxylate (Fig. 11))は, 明治製菓中央研究所において合成されたCephamycin系新抗生物質であり, 水に溶けやすい, 白色の結晶性粉末である。
本剤は各種細菌産生のβ-Lactamaseに対し安定であり, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し, 広範な抗菌スペクトラムを有し, 又, Bacteroides fragilis, Clostridium difficille等の嫌気性菌に対しても優れた抗菌力を有すると報告されている2, 3)。
又, 7位側鎖にアミノ酸を含み, 且つメトキシ基を持つ構造に起因すると思われる抗菌機序上の特徴が認められ, 感染治療実験においてMICより推定される以上の効果 (ED50) を示している4)。
毒性に関しては, LD50はマウス, ラットともに5g/kg以上であり5), 亜急性6), 慢性毒性7)とも特異的な作用は認められないと報告されている。
本剤の一般薬理作用の一部については, すでに報告されており, 中枢, 呼吸, 循環器系に対しては特異的な作用がないことが判明している8)が, 今回, 体性神経系, 平滑筋, 消化管系その他について検討し, 若干の知見を得たので報告する。