1985 年 38 巻 1 号 p. 102-106
抗生物質の組織への移行度を定量的に評価するためには, 血液中と臓器内濃度の解析によるが, 現在, 一般に行われている臓器内濃度測定法は,抗生物質の血漿, 細胞内及び組織間液などを含めた濃度を測定している可能性があり, 組織間液の濃度が忠実に反映されているとは限らない。
今回, われわれは, 緬羊を用いて, 肺組織間液にほぼ等しいと考えられる肺リンパ液を採取することにより, Cefotaxime (以下CTX) の静脈内投与後における血清中及び肺リンパ液中CTX濃度を測定し, 本剤の肺組織への移行度について検討したので報告する.