The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefotiam投与法の相違による胃癌術後の感染予防効果の検討
木全 博己山本 正博中谷 正史斉藤 洋一
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1985 年 38 巻 1 号 p. 160-165

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抄録

術後感染症の発症は, 外科学と麻酔学の進歩や薬効の高い抗菌・抗生剤の開発が進んだ現在でも皆無にはなつていない1)。
術後の感染をできるだけ少なくするため抗菌・抗生剤が予防的に投与されているが, 我が国において, その感染予防効果に関する報告は少ない。坂部ら2)は, 胃切除術及び胆嚢摘出術における術後感染の頻度を抗生剤2g/日, 5日間投与群において12.5% (17/136) であつたと報告している。しかしながら予防的に抗生剤が投与されていない場合と比較して感染頻度が低くなつているかどうか, 又, 同一の薬剤でも投与法の相違によつてその感染予防効果に差があるかどうかなどについては, 我が国においては報告された例は少ない。
いわゆる第2世代セフェム系抗生剤の代表であるCefotiam (CTM) は, グラム陽性菌並びにグラム陰性菌に対して優れた抗菌力を有しているため術後の創感染, 尿路感染あるいは呼吸器感染の防止にかなり有効である3~5)。
著者らは, CTMの投与法を変え術直後から5日間投与し, 主として胃癌手術後のCTM投与法の相違による感染予防効果を検討し, 若干の知見を得たのでここに報告する。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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