The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
日常診療レベルの呼吸器感染症由来臨床分離株のBRL25000
(Clavulanic acid-Amoxicillin) に対する感受性
出口 浩一佐藤 久美子横田 のぞみ池上 亮祐小田 清次田中 節子深山 成美福本 寅雄松本 好弘西村 由紀子
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 38 巻 10 号 p. 2797-2808

詳細
抄録

BRL25000は英国ビーチャム社によって開発されたβ-Lactamase阻害剤であるClavulanic acid (CVA) とAmoxicillin (AMPC) を1:2の割合で配合した経口抗菌剤 (以下経口剤) である。本剤のわが国における検討は1980年から2相試験, 1982年からは3相試験が開始され, 1982年の第29回日本化学療法学会新薬シンポジウムにおいて有用性が確認された1)。
BRL25000のβ-Lactamaseに対する阻害作用はCVAが細菌の産生するβ-Lactamaseを不可逆的に不活化するためであるとされているが, その阻害作用 (β-Lactamase inhibitory effect) はオールマイティなものではなく, Penicillinase (以下PCase), 特にTEM型のβ-Lactamaseに強い阻害作用を発揮するが, Cephalosporinase (以下CEPase) に対する阻害作用は弱い1-3)。私たちのこれまでの検討によれば, 外来を中心とした日常診療レベルの気道系感染症の主な起炎菌は, Staphylococcus aures, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, Branhamella Catarrholis, Klebsiella pneumoniaeである4)。これらの菌種のうちS. aureus, H. influenzae, B. catarrhalis, k. pneumoniaeは, β-Lactamase産生株が増加していて5, 10, 14), なお且つそのβ-Lactamaseは主としてPCaseである3)。
上述したようなBRL25000の抗菌作用, 起炎菌の特徴からして, BRL25000は日常診療レベルの気道系感染症の治療に期待が持てる。そこで, 外来の気道系感染症由来新鮮臨床分離株を用いてBRL 25000, Amoxicillin, Cefaclor, Cephalexin, Cefadroxil, Cefroxadineの抗菌力(MIC)とβ-Lactamase活性を測定したところ, BRL 25000はβ-Lactamase産生株に対して優れた抗菌力を示した。以下で詳細を報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top