The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
小児科領域におけるAztreonamの基礎的, 臨床的検討
溝口 文子中村 はるひ片山 道弘柴田 元博岩井 直一種田 陽一
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 38 巻 11 号 p. 3273-3284

詳細
抄録

Aztreonam (AZT) は米国スクイブ社で開発されたMonobactam (単環β-Lactam) 系抗生物質である1, 2)。
本剤はグラム陽性菌にはみるべき抗菌力を示さないが, Pseudomonas aeruginosaを含むグラム陰性の桿菌及び球菌に対しては非常に優れた抗菌力を示すと共に, グラム陰性菌が産生する各種のβ-Lactamase及びDehydropeptidaseに対しても極めて安定である1~3)。又, in vitroの抗菌力から予想される以上の治療効果が動物感染実験において認められている1, 2)。更に, 静注により投与量に比例した高い血中濃度が得られ, 体内ではほとんど代謝を受けず, 大部分は未変化体のままで主として腎を介して排泄される1, 4)。
このような特徴を持つAZTは, P. aeruginosa, Serratia marcescensなどを含めたグラム陰性菌感染症に優れた治療効果が期待できる点だけでなく, 近年開発の著しい広領域の新Cephem剤とは異なつて, 正常細菌叢に対する影響も少ないと予想される点からも大いに期待が寄せられる。すでに行われた成人領域での検討成績では, 各種のグラム陰性菌感染症に対する高い有効性が示され, しかも安全性の面においても特に問題のない薬剤である点が確認されている1)。
今回, 我々は小児科領域において本剤の基礎的, 臨床的検討を行つたのでその成績を報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top