1985 年 38 巻 11 号 p. 3349-3357
Aztreonam (AZT) は1980年,米国スクイブ社で開発された新規単環系β-ラクタム抗生物質である (図1)。Escherichia coli, Neisseria sp., Haemophilus sp.に最も強い抗菌力を示し, Pseudomonas aeruginosa, Entero-bacter sp., Serratia marcescensにも強い抗菌力を持つが, グラム陽性菌及び嫌気性菌に対する抗菌力は弱い。又, 各種β-ラクタマーゼ, デヒドロペプチダーゼに対して極めて安定である。
本剤について, 成人領域での臨床的検討はすでに行われ, 安全且つ有効であることが確認されている1)。今回, 我々は比較的難治と思われる小児感染症に対する本剤の臨床的検討を行つたので報告する。