1985 年 38 巻 11 号 p. 3358-3377
Aztreonam(SQ26, 776, AZT)は米国スクイブ社で開発されたMonobactam系抗生物質の注射剤であり, 化学名は(-)-2-[(Z)-[[1-(2-Amino-4-thiazolyl)-2-[((25,3S)-2-methyl-4-oxo-1-sulfo-3-azetidinyl)aminol-2-oxo-ethylidene]aminoloxy]-2-methylpropionic acid, その構造式はFig.1に示したとおりで, Pseudomonas aeruginosaを含む種々のグラム陰性の桿菌と球菌に対し強い抗菌力を有し1~3), β-LactamaseやDehydropetidaseに対して極めて安定であるという特徴がある3~5)(Fig.1)。本剤はすでに1983年の第30回日本化学療法学会東日本支部総会における新薬シンポジウムで, 基礎的検討及び成人での臨床評価が発表されている3)が小児での成績はないことから私たちは小児に対してもAZTの有用性を論ずる目的で, 小児に投与し, その血清中濃度, 尿中濃度, 尿中回収率の測定を行うと共に種々の細菌感染に本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果及び副作用について検討したので, その成績を報告する。