The Japanese Journal of Antibiotics
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黄色ブドウ球菌性髄膜炎家兎におけるAztreonamとAmpicillinの同時投与時の髄液中移行
山本 初実大倉 完悦黒木 茂一春田 恒和小林 裕
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1985 年 38 巻 11 号 p. 3378-3386

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抄録

Aztreollam(AZT)は各種β-Lactamaseに極めて安定であり1~3), グラム陰性球菌及び桿菌に対して強い抗菌力を持つ反面, グラム陽性菌及び嫌気性菌にはほとんど作用しないという特徴を持つている4~6)。家兎を使つた我々の実験では髄液中への移行効率は中程度で, 半減期は長い方に属するという成績が得られたことから,髄膜炎に奏効する可能性があるつ。しかし, 髄膜炎に有用であつてもグラム陽性菌には効かないので, 単独では起炎菌判明後の第2次選択剤ということになろう。従つて起炎菌判明前の選択剤として用いようとすれば, グラム陽性菌全体に対する弱点を補う必要上, Ampicillin(ABPC)等と併用せざるを得ない。しかし, 我々が家兎を用いて実験的にCefotaxime(CTX)又はLatamoxef(LMOX)とABPCとの同時投与時の髄液中移行を各単独投与時と比較した成績では, CTXとABPCの同時投与では両剤とも単独投与時との間に明らかな差が認められなかつた8)のに対して, LMOXとABPCとの同時投与ではABPCの髄液中濃度が単独投与時より低下した9)ので, AZTとABPCの同時投与についても同様の実験を行つた。

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