The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefpimizoleの産婦人科領域での応用
岩崎 寛和斉藤 正博臼杵 哲宮川 創平
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1985 年 38 巻 4 号 p. 921-925

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抄録

Cefpimizole (AC-1370) はβ-Lactamaseに対し安定なβ-Lactam剤であるCephalosporin系抗生剤で, グラム陽性菌からグラム陰性菌までの幅広い抗菌スペクトルを持ち, 特にPseudomonas属を含むグラム陰性桿菌に対し良好な抗菌力を有している1)。
女性内性器は, 性管が腟-子宮-卵管を経て腹腔内に通じると言う特殊な解剖学的特徴の故に比較的感染症にかかる機会も多い。
事実, 子宮筋腫, 子宮癌等では, 臨床的に感染徴候が全く認められなくても, 性器並びに周囲組織に好気性菌ないし嫌気性菌の存在を比較的多く認める2~7)。
この事実は, 感染症の場合だけでなく, 女性内性器の手術に際しても抗生物質の術前ないし術後の予防的投与の必要性を示唆している7)。
又, 抗生物質の組織内移行も女性内性器の各々の組織部位によつて著しい差が認められる8)。このことは目的とする内性器の各組織内濃度と血中濃度の関係が分かれば, 血中濃度から各々の組織内濃度を推察でき, 最も効果的な治療が期待できる。今回, われわれはAC-1370の子宮及び附属器組織内移行及び感染症例についての臨床応用を検討したので報告する。

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