1985 年 38 巻 4 号 p. 966-971
新抗生物質であるCefpimizole (AC-1370) の婦人科領域における基礎的, 臨床的検討を行つた。
静脈血と子宮動脈血清濃度はほぼ同値であり, 経時的にみても変らなかつた。各組織を比較すると, 卵巣と子宮腟部が最も高く, 次いで子宮内膜の順になつた。
臨床的には7例の婦人科領域感染症に本剤を使用し, 有効率は85.7%であつた。
副作用は1例も経験せず, 臨床検査値の異常な変動もみられなかつた。
各種感染症に対する抗生剤療法の効果に対しては全く異存のないところであるが, 反面, 薬剤の濫用, 不適当な使用のために耐性菌の出現が問題とされており, 難治性感染症に対して, 更に優れた抗菌力を有する新抗生物質が期待されている。
今回, 味の素中央研究所と持田製薬で開発された新注射用セファロスポリン製剤であるAC-1370を使用して, 婦人科領域における本剤の基礎的, 臨床的検討を行い, いささかの知見を得たので報告する。