The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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小児科領域におけるCefotaximeの臨床的検討
辻野 儀一大国 英和田中 弘之藪内 百治隅 清臣安達 邦子西田 勝神尾 守房芦野 伸彦播磨 良一土居 悟児嶋 茂男杉田 隆博山本 威久日衛島 禎介池田 輝生長浦 智明下辻 常介辻野 芳弘
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1985 年 38 巻 7 号 p. 1721-1738

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抄録

小児疾患において感染症の占める割合は大きく, その治療の意義も大きい。その中で最近の感染症の変貌を考える時, 感染抵抗力の低下した患者の増加も重要な問題であろう。
抗生物質は, 近年目ざましい発展を遂げ, 治療技術の向上と相まつて感染症の治療に大きく寄与していることは疑いのないところであるが, 一方では, 難治性感染症と言われる感染症が未だに存在していることも又, 事実である。
Cefotaxime (CTX, 商品名セフォタックス®: ルセル・中外)は, フランス・ルセル・ユクラフ研究所で合成され, ルセル・ヘキスト両社で開発された新しいセフェム系抗生物質である。CTXは従来のセフェム系抗生物質に比べ, グラム陰性桿菌に対しては数十倍から数百倍の抗菌力を有し1), そのスペクトラムはHaemophilus influenzae, Indole陽性Proteus属, Enterobacter属, Citrobacter属, Serratia属, Pseudomonas aeruginosaにまで拡大しており, 又, β-Lactamaseに安定な新しいセフェム系抗生物質である2)。今回, 我々は小児科領域におけるCTXの有用性を臨床的に検討する機会を得たので, その結果を報告する。

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