1985 年 38 巻 7 号 p. 1853-1867
Aspoxicillin(ASPC, TA-058)は, 田辺製薬株式会社で開発されたPenicillin系の新しい注射用抗生物質で, 化学構造上Amoxicillin(AMPC)側鎖にN4-メチル-D-アスパラギンを有する1)(Fig.1)。
本剤はグラム陽性菌, グラム陰性菌に広く抗菌力を有し, 殺菌力も比較的強いとされている。特にin vitroにおける効果よりもin vitroにおける効果に優れ2), 各種実験感染症で良好な治療効果が示されている1)。又, 安全性については急性, 慢性毒性が低く, 投与後の吸収も良好で, 体内で分解代謝されず, 主に尿中に排泄される1, 3)。今回我々は, 小児における本剤の吸収, 排泄試験及び臨床的検討を行つたので報告する。