1985 年 38 巻 7 号 p. 1951-1971
Aspoxicillin (AsPc) は田辺製薬株式会社で開発された新しいPenicillin系薬剤の注射剤で, 化学名は (2S, 5R, 6R)-6-[2R-2-(2R-2-Amino-3-N-methyl carbamoylpropionamido)-2-(4-hydroxyphenyl) acetamido]-3, 3-dime-thyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo [3.2.0]heptane-2-carboxylic acid trihydrateで, その化学構造式をFig.1に示した。本剤はグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し幅広い抗菌スペクトルを有し1~5), in vitroよりはin vivoで優れた治療効果がある1,5~7)と言われ, すでに1982年の第30回日本化学療法学会総会における新薬シンポジウムで, 基礎的検討及び成人での臨床評価が発表8)されている。
そこで私たちは小児科領域でも本剤の有用性を論ずる目的で, 小児における吸収, 排泄と胸水への移行を測定すると共に, 種々の細菌感染症に対する臨床効果, 細菌学的効果及び副作用について検討したので, その成績を報告する。