The Japanese Journal of Antibiotics
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小児におけるSM-4300の臨床的検討
宮の下 昭彦永松 一明阿部 和男佐藤 佳子
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1985 年 38 巻 9 号 p. 2565-2570

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抄録

古くから使用されている筋注用のヒトγ-グロブリン製剤は痛みのために大量投与することは困難であつた。酵素処理による静注用ヒト免疫グロブリンの開発によつて大量投与が可能になつたが, 酵素処理によるγ-グロブリン製剤はFc活性が弱く, 血中半減期が短いという欠点を有していた。その後, スルホ化処理によるグロブリン-S, ポリエチレングリコール処理によるヴェノグロブリン-IがIntactのγ-グロブリンとして広く使用されるようになつている。
SM-4300はイオン交換樹脂処理のヒト免疫グロブリン製剤で, 安定剤として添加されたヒト血清アルブミンを除いた量の90%以上が免疫グロブリンG (IgG) である。
免疫グロブリン製剤は, 無又は低ガンマグロブリン血症の置換療法及び重症感染症においては抗生物質と併用して使用されているが, 重症感染症におけるIgGの効果については議論があり, その効果判定には慎重でなければならない。
われわれはSM-4300の提供を受け, 小児の細菌感染症及びCommon variable immunodeficiency (CVI) の1例に使用した成績と, in vitroにおけるヒト白血球の食菌作用に及ぼす免疫グロブリン製剤の影響を検討したので合せてここに報告する。

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